2018 Fiscal Year Research-status Report
フレイルおよびサルコペニア予防のための骨格筋リモデリングと再生機構解明
Project/Area Number |
18K15414
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 愛子 名古屋大学, 未来社会創造機構(医), 特任助教 (10805245)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 再生 / リモデリング / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアは、高齢者の日常生活動作の制限、転倒骨折、フレイルなどと密接に関連し、医療のみならず介護予防の観点からも対応が求められているが、その病態はいまだ不明な部分が多い。一方、Notch シグナルは骨格筋の発生、細胞の分化・増殖、及びアポトーシスにおいて重要な役割を果たし、老化に伴いそのシグナル伝達の不活化が起こることが報告されている。骨格筋におけるNotchシグナル伝達の低下が報告はあるものの、サルコペニアへのCatK-Notchシグナルの関与については明らかにされていない。 そこで9-12週齢の野生型マウス(♂、C57BL/6J)ならびにカテプシンK遺伝子欠損マウス(♂、CatKKO)の片側下肢骨格筋にカルジオトキシン(Cardiotoxin;CTX、20μM/0.2ml)を投与し、骨格筋障害を誘導し、これまで明らかにされていない障害後の骨格筋におけるカテプシンKの発現変化およびカテプシンKを媒介するNotch1の新たな活性化経路の解明のための検証を行った。しかし、当初の仮説に反し、障害後骨格筋でのCatK発現とNotch1活性化の亢進と反し、単球走化性蛋白質‐1 (MCP-1)やトール様受容体 (TLR)-2/-4発現上昇による炎症性マクロファージの浸潤、細胞死関連蛋白(caspase-3、cleaved caspase-8、the ratio of the BAX to the Bcl-2)の負の変化による骨格筋細胞のアポトーシスとともに、骨格筋修復・再生低下することを確認した。 研究代表者は以前、老化促進マウスSAMP10 における運動トレーニング(ET)の効果及びその機序に関する検討を行い、ETによる加齢に伴う筋肉機能及び構造変化(サルコぺニア)の改善効果についてその仕組みを明らかにしてきた。よって、次年度は、SAMP10マウスを使用し、カテプシンK-Notch1軸の変化およびその役割を解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CatK-Notch経路の骨格筋細胞アポトーシス、増殖ならびに分化への関与と、さらにフレイル・サルコペニアに対する役割を明らかにすることを目的とし、野生型マウス(9週齢、♂、C57BL/6J)とCatKKOマウス(9週齢、♂)の片側下肢骨格筋にCTX投与による下肢障害モデルを作製し、CTX投与前、投与3日後、14日後にマウスの筋機能(握力、トレッドミル走行時間)の測定を行い、さらに下肢骨格筋を採取し生化学的な解析を行った。また、同様の下肢筋肉障害マウスの作製方法でカテプシンK選択的阻害剤投与を行い同様に比較した。CatKKOマウスで障害された骨格筋の機能改善を観察するとともに、カテプシンK阻害剤投与による骨格筋機能改善を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
以前の研究で、老化促進マウス(SAMP10)10月齢では既に骨格筋萎縮が存在していることを確認していることから、当該研究においても10月齢SAMP10を使用しCTX による障害後の筋肉再生が低下し、Notchシグナルが低下しているかどうかを明らかにしていく。 さらに加齢に伴うサルコペニア以外に過度の安静などにより引き起こされる廃用性骨格筋萎縮(カヘキシア)が二次性サルコペニアとして臨床で問題となっている。今後は、肺癌細胞株(Lewis lung carcinoma; LLC)を背部皮下に移植したカヘキシアモデルも用い、カテプシンKの関与について明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)