2021 Fiscal Year Research-status Report
ホルモン依存性癌と転写コアクチベーターMED1:診断と治療標的の可能性
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18K15418
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷川 菜摘 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20708599)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホルモン依存性癌 / エストロゲン受容体 / MED1 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌はホルモン依存性癌として知られ、エストロゲン受容体α(ERα)がその発育を担う。ERαは転写共役因子複合体メディエーターのサブユニットMED1とリガンド依存性に直接結合し、メディエーターを通じて基本転写因子を転写開始点にリクルートすることで転写が誘導される。また、CCAR1はMED1のN端とERαに同時に結合し、ERα-MED1の直接結合を通さずにこれをバイパスする経路を形成するコアクチベーターとして報告されている。このCCAR1は乳腺の発育や乳癌細胞の増殖に関与することが予想され、MED1とERαの直接結合を介さない乳腺形成の要因になっている可能性があるがCCAR1の生理的・病態生理的な役割は明らかにされていない。 MED1とCCAR1の乳癌の発症・特性における役割の解析のため、乳癌モデルマウスの系で、我々の保有するMED1各種変異マウスとCCAR1 KOマウスおよびこれらのダブル・トリプル変異マウスを作成し、乳癌の発症率、増殖速度、転移様式、生存曲線などを解析した。さらに変異マウスから得られた乳癌細胞の初代培養とヌードマウスへの移植方法を確立し、乳癌発育におけるニッチの影響を解析した。次に乳癌腫瘍から抽出したRNAを逆転写したものをサンプルとしてエストロゲン受容体や細胞増殖に関わる遺伝子について定量PCRを行った。これらの解析結果からCCAR1がERαとの直接結合だけではなく、MED1と協調的に機能しERαの機能に役割を持っていることが判明した。今後はマウス体外受精技術で得られたMED1・CCAR1ダブル変異MEFのER機能や増殖能を解析し、乳癌発症や乳腺の発育遅延のメカニズムの解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に示したことのうち、MED1およびCCAR1変異乳癌モデルマウス作製とその解析が順調に進んでおり、次年度の研究につなげることが十分可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における結果・結論を別の方法で確認できると説得力が増すと考えられる。そのような方策を検討しており、次年度に遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で海外生産の試薬の納品が数か月遅延したため、次年度に繰り越して購入する事とした。
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