2019 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝指標1,5-アンヒドログルシトールの体内動態と生理作用に関する基礎的検討
Project/Area Number |
18K15428
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
森田 亜州華 獨協医科大学, 医学部, 助教 (30780902)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1,5-アンヒドログルシトール / トランスポーター / インスリン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は、医療現場で血糖コントロールの指標として用いられている糖アルコールである。臨床における1,5-AGの知名度は高いが、体内における1,5-AGの働きに関する詳細は明らかでない。本研究の目的は1,5-AGの「①体内動態の制御機構」と「②諸細胞の機能及び糖代謝に関係する生理学的作用の有無」を明らかにすることである。課題①の1,5-AGの体内動態の制御機構を解析するため、グルコーストランスポーターの1つであるNa+-dependent glucose transporter(SGLT)の強発現細胞に1,5-AGを添加し、細胞に1,5-AGが取り込まれるか検討した。細胞内1,5-AGを測定するため、質量分析装置による1,5-AGの測定条件を構築した。また、1,5-AGの毒性を検討するためSGLT強発現細胞に1,5-AGを添加し、細胞増殖の変化を検討した。7日間の投与では1,5-AGによる細胞数の変化は認められなかった。課題②の諸細胞の機能と糖代謝に関係する生理学的作用を解析するため、血中1,5-AG高値モデルマウス作成の条件検討を行った。C57BL/6マウスに皮下注射・尾静脈注射・浸透圧ポンプの3つの方法で1,5-AGの連日投与を行い、血中1,5-AG濃度の変化を評価した。皮下注射群および尾静脈注射群に対し、浸透圧ポンプ投与群において最も高い血中1,5-AG濃度が得られた。投与量の増加に伴う血中1.5-AG濃度の上昇も見られたが、高濃度の投与における血中1,5-AG濃度の増加は限定的であった。投与中止による血中1.5-AG濃度の減少も確認された。これらの検討により、血中1,5-AG濃度の高値を誘導する方法として浸透圧ポンプによる投与法が適当であることが示唆され、血中1,5-AG高値モデルマウス作成の条件決定に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,5-AGの細胞内取り込みを評価するため、負荷条件、細胞破砕方法、溶液中の1,5-AGの測定条件を検討・決定した。また、血中1,5-AG高値モデルマウス作成の条件を検討・決定した。ともに最終的な検討を行うべく準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、1,5-AGを添加したSGLT発現細胞の細胞内1,5-AGを質量分析にて定量化し、SGLTによる1,5-AGの輸送能を評価する。さらに、1,5-AG添加後の細胞からmRNAを抽出し、リアルタイムPCRにて増減するmRNAの有無を評価する。また、浸透圧ポンプを用いて血中1.5-AG濃度が高値となるモデルマウスを作成し、血糖変化および耐糖能などを詳細に検討する。さらに、1,5-AG投与マウスの各臓器を摘出し、機能にかかわる遺伝子およびタンパクの増減を評価する。特に肝臓と膵臓に注目する。肝臓においてはエネルギー代謝の変化を重点的に検討する。膵臓においてはファーストステップとして1,5-AGによるインスン分泌への影響に着目し、検討を行う。その後インスリン分泌以外の評価も進める。
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Causes of Carryover |
血中1,5-AG高値モデルマウスの作成にあたり当初予定していた混餌による投与から非経口法に変更したため、平成30年度・令和元年度は条件検討に注力した。そのため、最も費用の掛かる最終検討の実施が令和2年度となった。令和2年度は、血中1,5-AG高値モデルマウスの最終的な検討を行うため実験動物および投与用1,5-AGの購入、血中パラメータ測定用キットの購入を予定している。さらに、遺伝子およびタンパク量変化を評価するための試薬を購入予定である。
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[Journal Article] Development of an Organ Bath Technique for Isolated Rat Pancreas Preparations to Assess the Effect of 1,5-AG on Insulin Secretion2020
Author(s)
Asuka Morita, Motoshi Ouchi, Keitaro Satoh, Misao Terada, Hiroe Kon, Hidefumi Wakashin, Keitaro Hayashi, Naohiko Anzai, Kenzo Oba, Akira Shimizu, Tomoe Fujita
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Journal Title
Experimental Animals
Volume: 69
Pages: 127-134
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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