2018 Fiscal Year Research-status Report
心音・心機図を用いた心臓診察による肺高血圧症早期診断の試み
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18K15432
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
山崎 聡子 杏林大学, 医学部, 助教 (90782863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 心音図 / 身体所見 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月時点で79例に同意を得て症例登録を行った。全症例において心音図検査を施行し、あわせて従来の検査法として心電図、心臓超音波検査、血液検査、右心カテーテル検査、(症例によって)呼吸機能検査を測定した。 疾患の性質上未治療軽症例の集積が困難であるため、2017年11月-2018年3月に登録した症例のうち、治療後に平均肺動脈圧<35mmHgとなった、いわゆる中等症以下へ改善した21症例について解析を行った。症例はいずれも当院で肺高血圧症治療後フォローとして右心カテーテル検査を施行した肺高血圧患者であり、平均肺動脈圧の中央値は 21mmHg、四分位範囲は15-24mmHgであった。これらの心音図波形を対照群として健常人9例と比較したところ、患者群では心音図において中音域、高音域いずれにおいても対照群に比べて波長比、振幅比が高い傾向であった。肺高血圧の重症度を反映する平均肺動脈圧との相関では、中音域における振幅比で弱いが有意な相関がみられた。次に患者群内で平均肺動脈圧20mmHg以上の境界型~軽症の群と、20mmHg未満で肺高血圧を脱した群とで比較したところ、境界型~軽症群で高音域の振幅比が有意に上昇していた。境界型以上の肺高血圧症基準となる平均肺動脈圧20mmHg以上の診断に対するROC解析では、高音域振幅比のAUCが0.82となり、0.65以上をカットオフ値とした場合の感度は83%、特異度78%であった。以上より、中音域または高音域の振幅比が肺高血圧症境界型の段階でもすでに高い傾向にあり、早期症例を含む境界型~軽症例での診断に有用である可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年5月時点で79例の症例登録を行っており、目標症例数到達に向けた登録ペースとしてはやや遅れている。研究計画には不具合等認めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後目標の200例に向けて順次症例数を増やし、他検査との関連や治療経過などを含めて検討を重ねていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究対象症例の登録が遅れているため。また学会等に対する旅費は近距離での開催であったため申請していない。 (使用計画) 症例登録数を目標に向けて蓄積するとともに、学会発表・論文投稿を行っていく。
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