2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on spinocerebellar ataxia caused by mutations in elongases
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18K15441
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
尾崎 心 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (10754765)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝学 / 神経内科学 / 神経病理 / 疫学 / 脂質代謝 / 小脳失調症 / 脊髄小脳変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪酸伸長酵素ELOVL4の遺伝子変異による脊髄小脳失調症34型の剖検脳の解析を行った。神経病理学的に解析を行った(肉眼所見に始まり、免疫染色による特異的なタンパクの局在から、電子顕微鏡による微細構造の観察まで行った)。橋、小脳、大脳などに神経組織の変性を認めた。特に、橋核ニューロンと呼ばれる神経核の著しい脱失を認め、これに伴う橋小脳繊維と呼ばれる神経線維の変性が顕著であった。橋底部と呼ばれる領域では、新しい所見として、マクロファージと呼ばれる炎症系の細胞が血管周囲などに集まっている様子が顕微鏡的に観察された。この所見は、他の脂質代謝異常症である、X-ALD(X連鎖副腎白質ジストロフィー)と呼ばれる疾患でも類似の所見があり、脂質代謝異常に特徴的な興味深い所見である可能性がある。また、大脳の白質と呼ばれる神経線維が密な領域では、微小な空胞が観察され、これらの空胞性病変は、オリゴデンドロサイトと呼ばれる神経線維を形成する重要な細胞の変性像であると考えられ、重要な所見であった。これらの非常に特徴的な所見はこの疾患だけではなく、他の神経変性疾患の病態を考察する上でも重要な成果と思われる。これらの成果を論文として公表した(Ozaki et al., Acta Neuropathol Commun. 2021)。 日本人の未診断の小脳変性症のコホート(患者の集団)について、脂肪酸伸長酵素ELOVL4の変異頻度と、その変異によるSCA34の臨床的な特徴を調査した。その結果、非常に低い確率ではあったが、SCA34が存在していることが分かった。その成果を論文として公表した(Ozaki et al., Parkinsonism Relat Disord. 2019)。 脂質分布との関連性について現在さらに解析を行っている。
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