2019 Fiscal Year Research-status Report
腸管ミトコンドリアストレス制御による多発性硬化症予防の試み
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18K15452
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 幹人 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30817507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / 酸化ストレス / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症における、免疫細胞の活性と食事内容に関して解析を進めるため、引き続き多発性硬化症患者の便の採取と、血液サンプル、特に血球のサンプルの取得を進めた。便はすでに腸内細菌の検討を大阪大学微生物研究所と共同して測定し、興味深い結果を得ている。今後はさらに細菌叢の確認だけでなく、食事内容と代謝物の確認のため、便中の有機酸解析も予定している。 また現在、動物実験への拡大を計画している。すでに以前より計画していたコハク酸と血球レパトアとの関係のみではなく、現在腸管免疫とアストロサイトの活性化に関して食事による酸化ストレス変動の観点から、実験を追加することを計画している。多発性硬化症や視神経脊髄炎病態とアストロサイトの活性化に関しては以前より報告があるため、まずはhuman astrocyte primary cultureを用いた解析を開始した。 その他、活性酸素の産生に影響を与えると思われる、食事のスクリーニングのため、候補食材や薬剤の動物への投与を行う予定としている。すでに血管拡張作用があり、活性酸素を低下させることが予想されるいくつかの薬剤のマウスへの投与を開始し、マウスからの検体採取を終えている。 対外的な情報開示として、昨年度は学会発表を国内において2講演、海外において1講演行っており、海外学会であるECTRIMSにおいてポスターセッションにおけるawardを受賞した。いずれも多発性硬化症や視神経脊髄炎における免疫細胞のレパトア変化をヒト検体を用いて検討したものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多発性硬化症患者様の血球・便などの生態試料や、食事内容などの臨床情報の取得に成功しており、特に便に関してはすでに解析を終了した。またマウスへの薬剤投与実験や、human astrocyteを用いた、in vitroの実験もスタートしており、概ね計画通り実験は進展していると考えられる。 また海外学会1回を含む、対外的な情報開示を3回に及び行っており、特に海外学会では優秀演題に選択され、他大学などへの情報提供・情報交換もおおむねスムーズに行えていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は便検体の結果をもとに動物実験に移行し、アストロサイトとの関係を軸に、検討を行って行く。具体的にはまずhuman astrocyteやhuman pripheral blood cellと、多発性硬化症・視神経脊髄炎の血清・脳脊髄液検体を用い、これらの細胞のレパトア変化を検討する。そのうえで、レパトア変化と便中の菌叢変化の関係を明らかにしてゆく。 また、マウスに候補食材・薬剤を投与することで、同様の反応を引き起こせるかどうかを検討したい。 また本年は昨年同様に対外的な情報公開を行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
順調に研究課題が進んでおり、予算を消費しているが、negative dateの調整等が必要で2019年度ですべての予算を使い切ることができなかった。 また2020年度にも動物実験やhuman astrocyte primary cultureを利用した実験、また多発性硬化症や視神経脊髄炎患者の便検体を利用した有機酸解析を予定しており、そのための予算として活用してゆく予定としている。またその他学会において、本分野の情報交換と喧伝を行う予定としており、その必要としても使用する予定としている。
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