2018 Fiscal Year Research-status Report
モーションセンシング技術を用いたトゥレット症候群における運動チックの評価法の開発
Project/Area Number |
18K15477
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江里口 陽介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10776115)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トゥレット症候群 / 運動チック / モーションセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
1-1)トゥレット症候群患者の運動チックと随意運動の比較 患者・健常者それぞれ20名ずつの体動をモーションセンサーを用いて記録し、記録した動画を参照して運動チックと随意運動を肉眼で確認しラベル付けをした。当初は全ての運動チックを対象とする予定だった。トゥレット症候群患者には頸部の椎骨骨折や頭蓋骨骨折が多く、頚椎症に関連した頸椎椎間板ヘルニアやミエロパチー、椎骨動脈解離による脳梗塞などの合併症の報告が多い。また研究参加者にも指先の痺れなど頚椎症の症状を持つ者が多いことがわかった。最も重い合併症に関連することから、頸部の運動チックに焦点を絞って研究を行うことになった。また予備試験の段階ではモーションセンサーによるチック検出率は良好だったが、予備試験ではみられなかった程に素早い運動チックが一部の患者には出現することがわかり、時間解像度の低いモーションセンサーとあわせて、より時間解像度の高い加速度計を利用している。現在までに患者・健常者25名ずつの頸部の運動をモーションセンサーと加速度計を用いて測定し、運動チックが随意運動と比較して速い動きである、という仮説が裏付けられる結果を得ている。 1-2) 閾値を用いて運動チックと随意運動を弁別 当初の予定通り閾値を用いて運動チックと随意運動を弁別する可能性について、現在追及している。ただし予備試験で協力を得た患者は素早い運動チックを呈する人が多くみられたが、本試験で協力した患者には、頸部の緩慢な運動チックを呈する人が多くみられ、単純なモデルで速度のみで運動チックと随意運動を弁別することは困難であることがわかり、説明モデルを再検討している。 1-3)頸部運動チックと関連する臨床指標の探索 頸部の運動チックは全体として随意運動よりも素早い動きであることが示されたため、現在は脳~頸部MRI・頸部レントゲン写真など関連する臨床指標の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モーションセンサーを用いて20名のチックの動画撮影・測定を行った。現在対照群として健常成人を募集し、20名の随意運動を動画撮影した。予備試験の結果からは、運動チックの方が随意運動よりもはるかに素早いことが予想されたが、モーションセンサーの時間解像度が低く、一部の運動チックを捉えきれないことが新たに分かった。そのためモーションセンサーにあわせて、時間解像度の高い加速度計を用いて、患者25名・健常成人25名の頸部の運動を動画撮影した。そのためサンプル収集に当初の予定より遅れが出ている。また当初は全身の運動チックを解析対象としていたが、頸部の運動チックの臨床的重要性が明らかになったため、今後は頸部のチックに関連する臨床指標の探索も行う予定である。脳・頸部MRIなどの撮影・読影・解析が今後必要となるが、倫理変更申請、施設内外の協力体制の構築、実施などが今後必要であり、当初の予定よりは研究成果をまとめて論文出版する時期に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在患者25名・健常成人25名の測定データがあるが、さらにそれぞれ25名ずつ程度リクルートし、50名ずつで頸部の運動のピーク速度を群間比較する。また頸部のチックに関連する臨床指標の探索も行う予定である。頸部の運動チックと関連する臨床指標を探索するため、倫理変更申請、施設内外の協力体制の構築を行ったうえで、脳・頸部MRIなどの撮影・読影・解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初の予測より集まったデータが現時点では少ないが、徐々にデータが収集されつつある。そのため学術支援専門職員の雇用・ワークステーションや解析ソフトウェアの購入などが2018年度中は行えず、2019年度中に行う予定である。
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