2021 Fiscal Year Annual Research Report
An Attempt to Discriminate Mood Disorders Using Myelin Mapping and Neurite Imaging
Project/Area Number |
18K15487
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
秦野 浩司 大分大学, 医学部, 准教授 (30516092)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミエリンマップ / 頭部MRI / 双極性障害 / うつ病 / 神経突起画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害やうつ病といった気分障害は、患者の社会的機能の低下、就労困難による経済的・社会的損失、自殺などの多くの問題を抱えるが、その病態は未解明であり、気分障害を生物学的に鑑別できることの有用性は高い。近年、頭部MRIを用いて、皮質内のミエリンや神経突起について評価することが可能となっている。本研究では、これらの解析手法を用いて、双極性障害とうつ病の違いを検討することを目的とした。 3T MRI装置を用いて、24名の双極性障害患者および16名のうつ病患者の構造画像および拡散強調画像を撮像した。まず、HCPパイプラインを用いてMNI標準脳に標準化された表面マップ(軟膜、白質、中間皮質など)とミエリンマップを作成した。次に、拡散強調画像を前処理し、続いてNODDIを用いて神経突起指標を計算した。方向散乱インデックス(ODI)と等分散体積分率(ISOVF)を神経突起指標として用いた。統計解析は各サーフェス画像に対して、Palmを用いて一般線形モデルでpermutation testを行い、多重比較補正はFWEで行った。年齢と性別、診断をモデルに共変量として組み込んだ。また罹病期間も共変量の一つとした。 結果として、双極性障害とうつ病の間に差は認めなかった。しかし、罹病期間との交互作用を検討するとうつ病と比べて双極性障害に傾きが正で、両側の前帯状回、下前頭皮質、右の上頭頂皮質、下頭頂皮質、島皮質、外側側頭皮質などに有意な領域を認めた。また診断別ではうつ病では有意な相関を認めなかったが、双極性障害では、左半球有意で島皮質や後部帯状回、下頭頂皮質など広範に有意な罹病期間との正の相関を認めた。他の神経突起インデックスとは有意な関係は認めなかった。 今回の研究から、双極性障害では罹病期間とともに大脳皮質のミエリン構造の変化が進行している可能性が示された。
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