2020 Fiscal Year Research-status Report
うつ病の発症メカニズムの解明-リアノジン受容体およびIP3受容体の関与
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18K15500
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
丸山 恵美 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30792072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リアノジン受容体 / 海馬 / Ca2+ / うつ / ECS |
Outline of Annual Research Achievements |
拘束水浸ストレス負荷にて作成したうつ様モデルマウスの海馬でリアノジン受容体(RyRs)のタンパク発現量が増大、このときRyRsをアンタゴニストでブロックするとうつ様症状が増悪することから、RyRsのCa2+放出能の変化が示唆されたことを令和2年度論文として報告した(Brain Stimulation. 14: 36-47, 2021)。さらにこの機能変化を検討するためモデルマウスから海馬スライスを作成、Ca2+イメージングを取得した。 海馬歯状回の錐体細胞ではうつ様状態にあるときcaffeineによってCa2+放出が誘発される細胞数が減少し、電気痙攣ショック(ECS)でうつ様症状が軽減すると細胞数の減少が回復した。さらにCa2+放出時のtime to peakがうつ様状態では延長、ECS処置後では短縮した。令和2年度はこのcaffeine誘発Ca2+放出がRyRsを介したものであることを確認するために灌流液中にRyRsアンタゴニストであるダントロレンを加えたときの反応の変化を細胞ごとに比較検討した。これらの結果は一貫してうつ様状態ではRyRsのCa2+放出機能が低下していることを示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度まででうつ様モデルマウスにおけるRyRsの機能低下について示し、この結果から令和2年度に論文を作成・投稿し、受理された。しかし、コロナ禍における学校及び学童等の閉鎖などから子の養育に費やす時間を大幅に増やす必要があった。さらに投稿した論文3本の追加実験及び改稿、科研の他課題のデータ取得の難航により令和2年度は本課題の実験実行に費やせる時間がほとんど得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度までに取得したデータの解析を行い、caffeine誘発Ca2+放出の変化がRyRs由来であることを確認した後、Ca2+放出の変化の電位変化に対する影響をイメージングにて検討する。この間にパッチクランプ法の準備を行い、うつ病とCa2+感受性K+チャンネル(SK、IK、BKチャンネル)-RyRsの関連について刺激剤及び阻害剤を用いながら電気生理学的に検討する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は本研究課題に対する研究時間がほとんど取れなかったため、実験自体が一度しか実行できなかった。令和3年度は研究を再開し、計画をすすめて使用する予定である。
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