2018 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症における遂行機能障害のメカニズムと神経学的基盤の解明
Project/Area Number |
18K15506
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 芳雄 弘前大学, 医学研究科, 特任講師 (70760891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 遂行機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経発達障害のひとつである自閉スペクトラム症(ASD)で生じる遂行機能障害のメカニズムを解明するためASD者7名と神経定型発達者(NT)14名から種々の遂行機能検査と脳構造画像のデータを取得した。これまでに得られたデータを分析したところ、遂行機能検査データの比較では、各検査の遂行成績はASD群とNT群で差がなかったものの、検査の回答に要する時間(遂行時間)はASD群で有意に遅延していた。脳構造画像データでは、NT群と比較してASD群では左側下前頭回眼窩部及び右側中前頭回前方部・後方部の灰白質体積と右側中前頭回前方部の白質体積が有意に低い値を示した。その一方で、右側上前頭回の白質はASD者で有意に高い値を示した。さらに、遂行機能検査の遂行時間と灰白質・白質体積の関連を検討した結果、認知的抑制課題における遂行時間と右側下前頭回眼窩部と右側中前頭回前方部の灰白質体積および右側中前頭回前方部の白質体積が負の相関を、プランニング課題の遂行時間と右側上前頭回の白質体積と正の相関の値を示した。これらの結果からは、ASD者における脳構造の特徴が、遂行機能課題の回答の遅延と関連していることが示唆された。当成果の内容については国内の学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ計画通り概ね順調に進展している。次年度は引き続き対象者をリクルートをしながらデータ解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、目標症例に達するまでASD群とコントロール群のリクルートを進めていく。また、MRIデータに関してこれまではT1強調画像のみ解析を行っていたが、併せて撮像している拡散テンソル画像についても解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成30年度のみでは目標症例に至らず、それに伴い謝金など支出を見送ることとなった。次年度以降の謝金の支払いや施設(MRI)使用料へ充当させること予定している。
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Research Products
(1 results)