2019 Fiscal Year Research-status Report
情動変化を呈したモデル動物における酸化ストレスの全脳的評価
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18K15511
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
水野 智之 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (60626357)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 気分障害 / 亜鉛欠乏 / 社会的孤立 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験動物であるラットに亜鉛欠乏および社会的孤立という2つの負荷を別々、または同時に負荷し諸検査を行いその結果を比較するものである。コントロール、亜鉛欠乏のみ、社会的孤立のみ、亜鉛欠乏+社会的孤立、の4群において、先行研究において得られた行動解析に加えて、現時点において、コントロール、亜鉛欠乏のみの2群において、血中の酸化ストレス物質を測定するべく採血を行った。核酸由来の酸化ストレス物質である8-OHdGはコントロールで高値の傾向を認め、脂質由来の酸化ストレス物質である8-isoprostanesでは、亜鉛欠乏群において有意差をもって高値であった。64Cu-ASTMという核種を用いた全脳のイメージング検査をコントロール、亜鉛欠乏のみの2群において行った。両群において相違は認められず、部位差も認めなかった。血中酸化ストレス物質の結果については、亜鉛欠乏によりZn-superoxide dismutase (Zn-SOD、主に細胞質に存在)の発現や活性が低下し、細胞膜のリン脂質由来である8-isoprostaneが上昇した一方、代償的にMn-SOD(主にミトコンドリアに存在)などの抗酸化酵素の発現や活性は上昇し、DNA由来の8-OHdGは低下したのかもしれない。64Cu-ATSMによる全脳イメージングにおいて、コントロールと亜鉛欠乏群とで有意差が全く得られなかったことについては、さらに負荷をかける期間を長くしないと酸化ストレスの蓄積が可視化されるまでには至らないのではないか、と結論付けるに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験結果が、当初予想していた結果とは異なり、別の実験系を立ち上げる必要が生じ、そのための準備が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化ストレスの脳内での蓄積状況の確認が必要であり、免疫染色法による新たな実験系を追加して行う方針である。その結果を確認した上で、必要となれば亜鉛欠乏ラットとコントロールとの比較に焦点を当てて結果を得ることに目標を絞ることも視野にいれていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度において論文投稿を予定しているため、次年度使用額が生じた。論文投稿に関わる、文献検索費用、投稿費用などに使用することを計画している。
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Research Products
(1 results)