2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K15541
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松村 彰彦 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90600453)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 半導体検出器 / 重粒子線 / 線質 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素線を用いた重粒子線がん治療は、生物学的効果比が高く、正常組織へのダメージも少ないため、より患者の“生活の質”を重視した低侵襲のがん治療法として近年大きな注目を集めている。本研究では、臨床応用を見据えて、線量と線質が測定可能な半導体検出器アレイを開発し、新たな測定基盤技術を構築することを目的としている。 本年度は、臨床応用の第一歩として、昨年度までに整備した半導体検出器を用いて、拡大ビーム法を用いたがん治療用ビームの照射野サイズを変更した際の線量・線質の変化を群馬大学重粒子線医学センターにおいて測定した。その結果、照射野サイズを小さくすると、1次粒子である炭素線起因の信号はほぼ変わらなかったが、核破砕反応によって生じる2次粒子であるフラグメント起因の信号の減少が確認された。これは、炭素線とフラグメントの角度分布の差によるものと解釈できる。つまり、多重散乱の影響が相対的に大きく、生成時に一定の散乱角をフラグメントのほうが広い角度分布を有するためであると考えられる。 また、大阪重粒子線センターにおいて、炭素線スキャニングビームの動径方向(ビーム軸に垂直な方向)のLET分布の変化を測定した。ブラッグカーブのプラトー領域では、炭素線のエネルギーは高く、LETの変化も小さかった。一方で、ブラッグピーク近傍では、LETの変化が大きく観測された。これも、深くなるにつれて発生するフラグメントの量が増えるため、それらの広がりを示唆していると考えられる。現在、治療計画装置やモンテカルロシミュレーションとの比較を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに開発した半導体検出器を用いて、現在重粒子線治療で用いられている拡大ビーム法とスキャニング法について、それぞれ線質変化の測定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床で用いている炭素線を用いて、その線質測定を進めているが、特に測定誤差の定量的評価や再現性の確認、測定点数が少ないことが現状の問題と考えている。今後はこれらの問題を解決できるよう、実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍での様々な制約があり、開発の一部遅れた。次年度の実験の消耗品や学会への出張費等で使用予定である。
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