2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of semiconductor detector for radiation quality measurement of therapeutic carbon beams
Project/Area Number |
18K15541
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松村 彰彦 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90600453)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 重粒子線 / 線質 / 半導体検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素線を用いた重粒子線がん治療は、生物学的効果比が高く、正常組織へのダメージも少ないため、より患者の“生活の質”を重視した低侵襲のがん治療法とし て近年大きな注目を集めている。本研究では、臨床応用を見据えて、線量と線質が測定可能な半導体検出器アレイを開発し、新たな測定基盤技術を構築すること を目的としている。 本年度は、昨年度までの研究を発展させて、拡大ビーム法とスキャニング法の異なる照射方法での照射野効果について詳細な調査を行った。本研究では、水圧可変型の水槽の下に検出器を設置して照射野効果を測定しているが、水槽と検出器間の距離によって最大でおよそ8%あまり結果が異なることが判明した。これは、空気層の距離が長くなることによって散乱された放射線が検出器に入射する割合が減少するためだと考えられた。そこで、半導体検出器のセットアップに合わせて電離箱でも水槽・検出器間の距離を1cm程度にして再測定を行った。その結果、検出器サイズが小さいほど照射野効果の影響が小さいことが確認された。拡大ビーム法とスキャニング法との比較を行ったところ、1辺20mmの小照射野の場合にスキャニング法の方がより線量減少率が大きいことがわかった。拡大ビーム法に比べ、ビームライン機器が少ないスキャニング法は照射野効果の影響も小さいと予想されていたが、逆の結果となった。体積平均効果等も含めて、引き続き詳細な調査を行う必要があると考えている。半導体検出器を用いた線質測定は個々の放射線の信号を計測するため、測定に時間を要し統計量も十分では無く、数%の測定誤差があると考えられていた。そこで、同条件で繰り返し測定を行い、測定のバラつきを定量的に評価した。その結果、測定のバラつきはおよそ1%程度であることがわかり、臨床的に十分な精度で線質測定が可能であることがわかった。
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