2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of tumor reoxygenation by percutaneous CO2 therapy using FMISO-PET
Project/Area Number |
18K15547
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸山 晃司 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40815990)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 18F-FMISO / マウス骨肉腫細胞株(LM8) / SUVmax |
Outline of Annual Research Achievements |
経皮的炭酸ガス療法による腫瘍の低酸素状態改善を画像評価するために、これまでの研究において、経皮的炭酸ガス療法による治療効果が高いことが判明しているマウス骨肉腫細胞株(LM8)を用いて実験を行った。LM8細胞を皮下に移植したヌードマウスを経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)にわけ、FMISO-PETを用いて低酸素状態の評価を行うこととした。当初は経皮的炭酸ガス療法群において炭酸ガス療法直後、3時間後、6時間後、1日後、3日後と異なる時間軸でFMISO-PETを撮像し、低酸素状態改善の持続期間についても検討を行う予定であったが、18F-FMISOの半減期や実験室の使用可能時間を考慮すると、同一個体において炭酸ガス療法後の低酸素状態を経時的に評価することは現実的ではないと判断した。 過去に抗腫瘍効果が報告されている週2回のペースで計3回炭酸ガスを経皮的に投与した群を用いて低酸素状態の改善が得られているか確認する実験を行った。投与効果が長時間持続するかもあわせて確認するため、最終投与はFMISO投与の3日前とした。経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)のマウスを用意し、炭酸ガス、空気をそれぞれ経皮的に計3回投与後、FMISOを投与し、集積程度を確認した。腫瘍のサイズは経皮的炭酸ガス療法群で有意に小さかったが、低酸素状態で集積亢進するFMISOの集積程度をSUVmaxという指標を用いて測定したところ、両群でSUVmaxの値に有意差は認められなかった。上記結果より、経皮的に炭酸ガス投与を複数回行うと、腫瘍内の低酸素状態改善により、腫瘍のサイズ増大は抑制することが可能となるが、腫瘍の低酸素状態改善は一時的なものであり、長時間は持続していないことが示唆された。 上記結果をふまえて、炭酸ガス経皮的投与による単回投与での低酸素状態改善の持続時間を検討する追加実験を行う方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経皮的炭酸ガス療法による腫瘍の低酸素状態改善を画像評価するために、これまでの研究において、経皮的炭酸ガス療法による治療効果が高いことが判明しているマウス骨肉腫細胞株(LM8)を用いて実験を行っている。LM8細胞を皮下に移植したヌードマウスを経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)にわけ、FMISO-PETを用いて低酸素状態の評価する実験を行った。 過去に抗腫瘍効果が報告されている週2回のペースで計3回炭酸ガスを経皮的に投与する方法を用いることとした。投与効果が長時間持続するかもあわせて確認するため、最終投与はFMISO投与の3日前とした。経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)のマウスに炭酸ガス、空気をそれぞれ事前に3回(2回/週)経皮的に投与し、最終投与が3日前の状態でFMISOを投与した結果、腫瘍のサイズは経皮的炭酸ガス療法群で有意に小さかったが、低酸素状態で集積が亢進するとされるFMISO集積の程度を示すSUVmaxの値に有意差は認められなかった。この実験結果から、経皮的に炭酸ガス投与を複数回行うと、腫瘍内の低酸素状態改善により、腫瘍のサイズ増大は抑制することが可能となるが、腫瘍の低酸素状態改善は一時的なものであり、長時間は持続していないことが示唆された。 上記結果をふまえて、炭酸ガス経皮的投与による単回投与での低酸素状態改善の持続時間を検討するため、FMISO投与前の経皮的投与時間を直前、3時間前、6時間前、1日前に経皮的炭酸ガス投与を行う群とそれぞれに対応する対照群(空気投与)を用意して実験を行う予定である。 摘出腫瘍について、低酸素マーカーであるピモニダゾールや、HIF-1α抗体を用いた免疫染色を行い、PET画像と比較検討する実験はまだ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った複数の実験結果より、経皮的炭酸ガス療法による腫瘍の低酸素状態改善効果は複数回投与を行っても長時間持続しない可能性が示唆されている。今後経皮的炭酸ガス療法による腫瘍の低酸素状態改善効果の持続時間について検討する予定である。低酸素マーカーであるピモニダゾールや、HIF-1α抗体を用いた免疫染色をPET画像と比較検討する実験を行えていないため、今後追加実験を行うかを検討中である。 また経皮的炭酸ガス療法の低酸素状態改善がどの程度短時間なのかを詳細に評価する方法として、FMISO投与後にdynamic scanを行い、FMISO集積の程度を経時的に評価する方法がある。経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)それぞれにFMISO投与後にdynamic scanを行うことで、経皮的炭酸ガス療法の低酸素状態改善の持続時間を評価することが可能となる。しかし、現在実験しているマウスではサイズが小さすぎて、dynamic scanが行えないため、ラットにサイズアップする必要がある。ラットではLM8細胞の皮下移植後の生着・発育に必要な細胞数や期間など調査する必要もあり、この実験を追加するかどうかについても検討が必要である。 経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)のマウスに、事前の経皮的投与は行わず、FMISO投与直後に1回炭酸ガス、空気をそれぞれ投与するという実験を、異なる腫瘍株(MFH、乳がん、扁平上皮癌、メラノーマ等)を移植したヌードマウスで行い、治療前後での低酸素状態の変化と治療効果との相関を検討する追加実験についても計画を予定している。 最終的にはウサギVX2肝腫瘍モデルを用いて総肝動脈より経カテーテル的に炭酸ガスを動注し、低酸素状態改善効果を確認する。炭酸ガス飽和水(炭酸ガスを25度の生理食塩水に10分間注入)動注群と生理食塩水動注群に分けて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初は経皮的炭酸ガス療法群において炭酸ガス療法直後、3時間後、6時間後、1日後、3日後と異なる時間軸でFMISO-PETを撮像し、低酸素状態改善の持続期間について検討を行う予定であったが、18F-FMISOの半減期を考慮すると、同一個体において炭酸ガス療法後の低酸素状態を経時的に評価することは現実的ではないと判断した。 経皮的炭酸ガス療法群と対照群(空気投与)のLM8移植マウスに複数回経皮的投与、最終投与が3日前の状態で、FMISOにて低酸素状態を評価する実験を行った結果、腫瘍のサイズは経皮的炭酸ガス療法群で有意に小さかったが、低酸素状態の程度に有意差は認められなかった。この実験結果から、経皮的に炭酸ガス投与を複数回行うと、腫瘍内の低酸素状態改善により、腫瘍のサイズ増大は抑制することが可能となるが、腫瘍の低酸素状態改善は一時的なものであり、長時間は持続していないことが示唆された。 上記結果をふまえて、炭酸ガス経皮的投与による単回投与での低酸素状態改善の持続時間を検討するため、FMISO投与の直前、3時間前、6時間前、1日前に経皮的炭酸ガス投与を行う群とそれぞれに対応する対照群(空気投与)を用意して実験を行う予定である。実験結果の考察、今後の方針決定に時間を要し、前年度実験が一時中断したこと、および当初の予定より必要な実験回数が増加すると予測されるため次年度使用額が発生した。
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