膠原病モデルマウスの放射線に対する高感受性に薬剤が与える影響の検討

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K15581
• Research Institution: Yamagata University
• Principal Investigator: 赤松 妃呂子 (須藤妃呂子) 山形大学, 医学部, 助教 (10611981)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 放射線感受性 / 関節リウマチ / 膠原病

Outline of Annual Research Achievements

膠原病患者に対する放射線治療は有害事象の増加が示唆されている。本研究では関節リウマチモデルマウスおよびその他の自己免疫疾患モデルマウスにおいて、放射線照射に対する有害事象の定量的な検討を行い、その修飾因子として薬物が与える影響を検討することが目的である。当研究室にて関節リウマチモデルマウス(McH-lpr/lpr-RA1)を用いた先行研究においても、放射線照射に対する皮膚・肺の有害事象の増加を認めた。McH-lpr/lpr-RA1は関節炎を高頻度に自然発生するため、2019年8月より凍結胚を融解・繁殖を開始した。

近年、難治性関節リウマチに対する生物学的製剤の有効性が示されており、実験計画ではインフリキシマブ投与後の関節リウマチモデルマウスへの放射線照射を予定していたが、予算内での薬剤調達が困難であったために研究実施が予定より遅れている。まずは関節リウマチに対し広く用いられるメトトレキサートに変更し、照射後の修飾効果について検討することとした。現在、McH-lpr/lpr-RA1にメトトレキサートを投与し、関節炎の症状に対する効果の有無について検討する動物実験が進行中である。関節炎の症状抑制効果を確認の上、放射線照射を加えた動物実験を予定している。また、抗マウスIL-6受容体抗体でMcH-lpr/lpr-RA1の関節炎発症抑制効果が報告されていることから、抗マウスIL-6受容体抗体の調達が可能か検討している。

先行研究で用いたものとは別系統の自己免疫疾患モデルマウスとして、SLEモデルマウス（MRL/lpr）や全身強皮症（SSc）モデルマウスが開発されており、関節リウマチモデルマウス(McH-lpr/lpr-RA1)での検討後に先行研究と同様の片肺照射における肺・皮膚の放射線障害の程度を定量的に評価し、系統別に放射線感受性の違いについて検討する予定である。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

実験計画でインフリキシマブ投与後の関節リウマチモデルマウスへの放射線照射を予定していたが、前年度に予算内での薬剤調達が不可であったため、投与する薬剤を変更して実験計画を再作成したために、研究実施が遅れている。

Strategy for Future Research Activity

メトトレキサートは関節リウマチの関節炎に対して有効性が認められ、広く用いられている薬剤の１つである。メトトレキサートが関節リウマチモデルマウス(McH-lpr/lpr-RA1)の放射線感受性に与える影響について報告されたものはなく、薬剤をメトトレキサートに変更して研究を実施している。

Causes of Carryover

前年度から実施計画が遅延しており、今年度から次年度に物品購入や動物実験に関わる経費が必要であるため。