2022 Fiscal Year Research-status Report
膠原病モデルマウスの放射線に対する高感受性に薬剤が与える影響の検討
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18K15581
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
赤松 妃呂子 (須藤妃呂子) 山形大学, 医学部, 助教 (10611981)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線感受性 / 関節リウマチ / 膠原病 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室にて関節炎を高頻度に自然発生する系統のモデルマウス(McH-lpr/lpr-RA1)を用いた先行研究では、放射線照射に対する皮膚・肺の有害事象の増加を認めた。本研究では自己免疫疾患モデルマウスを用いて、放射線照射による有害事象の定量的検討を行い、その修飾因子として薬物が与える影響を検討を行った。 本研究では2019年8月よりMcH-lpr/lpr-RA1凍結胚を融解し、繁殖を行い実験対象として用いた。McH-lpr/lpr-RA1に対する抗マウスIL-6受容体抗体(MR16-1)の関節炎発症抑制効果が報告されており、放射線照射後に抗マウスIL-6受容体抗体の腹腔内投与を実施して肺・皮膚の病理組織学的解析を行った。McH-lpr/lpr-RA1に片肺照射30Gy単回照射後にMR16-1の腹腔内投与を7週間継続し、コントロール群には同容量のリン酸緩衝液(PBS)を腹腔内投与した。片肺 照射後1日、2週、4週、26週後に肺の組織標本を採取し、薬剤による放射線障害への影響を検討したが、各群ともに放射線照射による放射線肺障害を示唆する所見を指摘できなかった。放射線肺障害の所見を指摘できなかった理由として、標本作成のタイミングや検査方法の問題が考えられた。また、同実験で採取したマウス血清の追加検討では両群でIL-6R alphaIの上昇を認めたものの、L-1 alpha/IL-1F1, IL-6, IL-17/IL-17A,TNF-alphaなど炎症性サイトカインの上昇は両群ともに認められなかった。 本研究では抗マウスIL-6受容体抗体の自己免疫モデルマウスの放射線感受性への修飾効果を明らかにすることができなかった。実験対象としたモデルマウスの放射線感受性の評価や照射部位・線量についての検討が必要と考えられ、放射線照射後の皮膚障害の病態について病理学的再検討を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
McH-lpr/lpr-RA1については放射線照射時の線量反応曲線のデータが乏しく、可能な範囲で再評価を行った。低線量(30Gy)または高線量(50Gy)照射後の皮膚の変化について病理組織学的解析を実施した。これまでの動物実験より得られたマウス皮膚組織標本の厚さ、毛包数を計測を行った。肉眼的に関節炎の所見を確認しやすい後脚の膝関節は脱灰の過程で時間を要し、組織標本を評価することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
抗マウスIL-6受容体抗体の自己免疫モデルマウスの放射線感受性への修飾効果を明らかにすることができなかったが、引き続き実験対象としたモデルマウスの放射線感受性の評価や照射部位・線量についての検討が必要と考えられ、放射線照射後の皮膚障害の病態について病理学的再検討を行う。
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Causes of Carryover |
実施計画の遅延により研究期間がさらに1年延長となるため、次年度のデータ解析や論文投稿料のための経費が必要となった。
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