2018 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍内低酸素がん細胞ダイナミクスとHIF-1をターゲットとした新規治療法作製
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18K15589
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 稔 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (40644894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低酸素 / 放射線抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の中で、HIF-1依存的に部位特異的組換えタンパク質Cre-ERT2を発現する遺伝子5HREp-Cre-ERT2を、遺伝子改変マウス作出の際に導遺伝子を安全に挿入可能なセーフハーバー遺伝子座と考えられ、この領域に導入された遺伝子はほぼ全ての組織で発現することが知られているROSA26遺伝子座にknock-inしたマウスを樹立した。さらに、このマウスをCre活性依存的に光標識が入るROSA26-floxed STOP-lucマウスとかけ合わせ、子マウスを得ている。現在、当該マウスを用いることで、生体内でタモキシフェン投与時に、HIF-1活性依存的な光標識が入るかどうかの検討を行っている。 また、「HIF-1依存的プロモーターの制御化で抗生物質耐性遺伝子を発現する細胞株」とcDNAライブラリーを用いたスクリーニング系により、新たにいくつかのHIF-1活性化因子の候補を得ている。現在、得られた遺伝子がどのようなメカニズムでHIF-1を活性化するのか、また得られた遺伝子がどのような条件下で活性化するのかなどの検討を行っている。 今後、前述したマウスのHIF-1活性、タモキシフェン依存的な光標識の確認を行った後、当該マウスを自然発がんマウスモデルなどとかけ合わせることで、HIF-1が活性化したがん細胞が、どのようなタイムコースで悪性固形腫瘍内を移動するかを時空間的に解析していく。同時に、HIF-1活性化因子の阻害などによってHIF-1が活性化したがん細胞が悪性固形腫瘍内を移動するタイムコースがどのように変化するかなども併せて解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIF-1依存的に部位特異的組換えタンパク質Cre-ERT2を発現する遺伝子5HREp-Cre-ERT2を、遺伝子改変マウス作出の際に導遺伝子を安全に挿入可能なセーフハーバー遺伝子座と考えられ、この領域に導入された遺伝子はほぼ全ての組織で発現することが知られているROSA26遺伝子座にknock-inしたマウスを樹立した。さらに、このマウスをCre活性依存的に光標識が入るROSA26-floxed STOP-lucマウスとかけ合わせ、子マウスを得た。 また、「HIF-1依存的プロモーターの制御化で抗生物質耐性遺伝子を発現する細胞株」とcDNAライブラリーを用いたスクリーニング系により、新たにいくつかのHIF-1活性化因子の候補も得られている。 遺伝子改変マウスの作出、およびにHIF-1活性化因子の探索の両方においておおむね順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、前年度までに作出したマウスのHIF-1活性、タモキシフェン依存的な光標識の確認を行う。確認を行った後、当該マウスを自然発がんマウスモデルなどとかけ合わせることで、HIF-1が活性化したがん細胞が、どのようなタイムコースで悪性固形腫瘍内を移動するかを時空間的に解析していく。 同時に、前年度のスクリーニングによって得られたHIF-1活性化因子を阻害することによってHIF-1が活性化したがん細胞が悪性固形腫瘍内を移動するタイムコースがどのように変化するかなども併せて解析していく。さらに上記自然発がんマウスモデルに放射線療法を行うことで、HIF-1活性化細胞のダイナミクスの変化を検討する。 これらの研究から得られた情報を基に、放射線分割照射やHIF-1活性化因子の阻害剤との併用療法を実施、より高い治療効果が得られるように治療プロトコールの最適化を実施することで、根治的放射線併用療法プロトコールの構築を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験は順調に進捗しているが、遺伝子改変マウスの外注を行った際、支払い請求が次年度分になったため、遺伝子改変マウスの作製費を次年度使用額として利用する
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