2018 Fiscal Year Research-status Report
患者由来膵癌を直接移植した肝転移ラットモデルの確立~オーダーメイドIVR治療へ~
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18K15596
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
影山 健 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (70791862)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PDX / ラット / ヒト腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腫瘍異種移植(Patient-Derived tumor Xenograft: PDX)動物モデルは、患者から切除した腫瘍を直接免疫不全動物に移植することによって、患者に代わり、前もって癌治療を動物内で行う事ができる、現在世界で最も期待されている癌治療スクリーニングプラットフォームである。本研究は、実際の患者腫瘍を用いて、動脈内投与可能なラット上でPDXモデルを確立することにより、癌化学療法における動脈内投与の有効性を上昇させることが目的である。本研究では、段階的に2つの研究を行う。①手術で摘出された新鮮な患者由来の原発膵癌組織を、直接免疫不全ラットの肝臓に移植した仮想肝転移モデルを作成する②肝転移モデルで、患者個人に代わって、肝動注療法や肝動脈塞栓術といったIVR治療(インターベンショナルラジオロジー:画像下低侵襲治療)を実施し、効果的な治療を探求する。この研究により、将来起こりうる患者それぞれの肝転移治療に、最良の治療法を還元でき、将来患者個人に特化したオーダーメイドIVR治療の実践を可能とする。実際の患者に対しては、複数の抗癌剤を同時に試す事が不可能であり、患者膵癌を移植した複数のラット上では、同時に複数の抗癌剤を試す事が可能となり、患者にもっとに適した抗癌剤を選定し、患者治療に適応できる。PDXモデルはオーダーメイド治療を実践する重要なツールとなる。当該研究は現在進行中であるため、公表した研究実績はない。ただし、下記の通り、順次研究を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度、重症免疫不全FSGラットの独占的供給の契約が終え、現在FSGラットの繁殖に成功し、多数のラットを飼育することに成功した。そして、FSGラットの肝内に肝腫瘍の植え付けを開始した。植え付け後、ヒト腫瘍の生着を確認できた段階である。FSGラットの肝臓内にヒト腫瘍の生着を成功させた事例の報告はない。研究1年目として十分な成果であった。今後、生着した腫瘍の組織評価ならびに薬物療法による腫瘍退縮評価を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究としては、順調に進捗している状況であり、引き続き実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究を進める上で、ラットの使用数が予想より下回ったためである。本年度多数のラットを使用とするため、次年度の繰越を必要とする。
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