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2019 Fiscal Year Research-status Report

クリプトーム解析を用いた陽子線に対するがん細胞応答の網羅的解析

Research Project

Project/Area Number 18K15612
Research InstitutionNational Cancer Center Japan

Principal Investigator

北條 秀博  国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (60638774)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords陽子線 / トランスクリプトーム / 食道癌
Outline of Annual Research Achievements

粒子線治療の一つである陽子線は、その生物学的効果が1.1倍程度とX線とほぼ同等と考えられている。しかし物理学的性質がX線と大きく異なることは知られており、申請者は陽子線の照射野内で生物学的効果が不均一である可能性を報告した。放射線はDNA損傷を介し、生化学的な過程を経て生物学的効果を誘導することが明らかとなっており、DNA損傷の形式、依存する修復経路はX線と陽子線で異なることが報告されている。しかし、その詳細な研究は限られているのが現状である。そこで、本研究ではX線と陽子線の照射後にがん細胞内で活性化される遺伝、signal pathwayを明らかにする事を目的とした。これまでに我々は食道癌細胞株KYSE30, 70, 450, 510, 1260, 1440細胞株を用いてX線、陽子線照射後の細胞内変化をRNA-sequenceをおこなった。照射後に活性化される遺伝子について経時的に調べ、IPathwayGuide用いて解析した結果、X線陽子線双方において放射線照射後に免疫関連の遺伝子の活性化が生じる事が明らかになった。さらにMHC class発現、PD-L1発現等には一部違いがあることを見出した。我々はこの免疫応答の差に着目し、放射線線種ががん免疫応答に与える影響について詳細な検討を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに我々は食道癌細胞株KYSE450、OE21を用いて当施設の陽子線装置、放射線医学総合研究所の重粒子線装置(HIMAC)を用いてX線、陽子線、重粒子線照射後にがん細胞内で生じる変化を経時的にRNA-sequenceを行い、gene enrichment analysis、pathway analysisを用いて解析した。その結果、X線、陽子線、重粒子線のいずれも免疫関連の遺伝子発現増加は生じるが、MHC classの発現は重粒子線で強く活性化され、PD-L1等の免疫抑制遺伝子はX線で強く活性化される傾向を認めた。さらに我々はこれらの共通の活性化経路として放射線照射後に生じるmicro nucleiが生じ、その下流のSTING, STAT1が活性化していることを見出した。
これらの結果からX線、陽子線、重粒子線による免疫応答がmicronuclei-STING-STAT1という共通したメカニズムで誘導されているという作業仮説をたて、その検証を行った。

Strategy for Future Research Activity

これまでに我々は食道癌細胞株KYSE450, OE21においてCrisper/Cas9によりSTING, IFNAR1, STAT1, IRF1遺伝子のノックアウト細胞を作成している。我々は野生株細胞、ノックアウト細胞それぞれにX線、陽子線、重粒子線照射を行い、RNA sequenceによる免疫応答解析を行っている。これらの結果を解析し、これまで報告のなかった陽子線、重粒子線の放射線照射後に活性化される免疫応答とその制御因子を明らかにする予定である。

Causes of Carryover

(理由)
研究の進捗を優先させたため、次年度に繰り越すこととなった。
(使用計画)
追実験が必要となる可能性があり、試薬やガラス器具、プラスチック器具が更に必要となることが予想される。また、さらなるシークエンス、解析を行う事も考えておりその費用も必要となる。更に、国内、国際学会参加費、論文投稿に際し、校正費等にも使用する予定である。

URL: 

Published: 2021-01-27  

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