2018 Fiscal Year Research-status Report
MRI-Linac用NonlinearCCC線量計算アルゴリズムの開発
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18K15617
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 謙吾 東北大学, 大学病院, 助手 (40705076)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MRI-Linac / 高速線量計算 / CCC法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,MRI-Linacに適した高速線量計算アルゴリズムの開発およびそのための初期検討を実施してきた.MRI-Linacは,診断装置であるMRIと放射線治療装置のLinacが融合した放射線治療装置であり,本邦においても臨床利用されはじめた新しい装置である.現状のシステムでは,患者体内における線量分布(被ばく量の分布)をモンテカルロ法(MC法)と呼ばれる非常に精度の高い計算アルゴリズムを用いて算出している.MC法は精度が高い一方で長い計算時間が必要とされ,これまでにもGPUを用いた並列計算による高速化が検討されてきた.MRI-Linacは,治療直前の患者の状態に合わせた最適な治療を提供するために開発されたシステムであり,治療直前にも線量計算が実施される.患者位置ずれは時間とともに大きくなることが知られており,線量計算に必要とされる時間が長くなることで患者への線量不確定性は大きくなってしまう.そこで本研究では,高速線量計算アルゴリズムとして知られているCollapsed Cone Convolution法(CCC法)をMRI-Linac用に応用し,GPU-MC法よりもさらに高速な線量計算アルゴリズムを開発することを目的とした. CCC法は,Linacから照射される1次光子と被写体との相互作用によって生じる散乱線線量分布(カーネル)を用いて計算を実施する.このカーネルはMC法を用いて予め算出される.2018年度は,はじめにカーネルの作成に必要となるMC法の確立,およびその精度検証を実施した.永久磁石と電離箱を用いた検証結果は良好であった.続いてCCC法で使用するカーネルの作成,CCC法アルゴリズムの開発に移った.カーネルの作成およびCCC法アルゴリズムの開発も順調に進展し,現在は開発したCCC法アルゴリズムの精度検証と特許出願を検討している段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状では,当初の計画通りに研究が進んでいる.研究計画当初は2019年度に特許出願を検討する予定であったが,研究が順調に進展したため2018年度末から特許出願関連の手続きを開始した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的であったMRI-Linac用高速線量計算アルゴリズムの開発そのものは非常に順調に進展している.今後は,より高速化するための計算の簡略化やGPUを用いた並列計算への拡張の他,精度向上を目指したアルゴリズムの改良を実施する計画である.また,MC法を基準とした精度検証も随時実施していく.
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Causes of Carryover |
磁場に対応したMC法の開発の過程で検証用ファントムを3Dプリンターを用いて自作することを予定していた.しかし,外注した方が正確度の高い均一なファントムをより安価に入手することができることが判明し,自作ではなく外注することとしたため差額が生じた. この差額は,今後特許の出願に必要となる経費として運用を計画している.
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