2018 Fiscal Year Research-status Report
重粒子線照射に対する細胞応答反応における二次的バイスタンダー効果の解析
Project/Area Number |
18K15622
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神沼 拓也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60599538)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線 / バイスタンダー効果 / 二次的バイスタンダー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では重粒子線照射に対する細胞応答反応における二次的バイスタンダー効果の解析を行うため、①バイスタンダー細胞の非照射細胞に対する影響についての研究、②バイスタンダー細胞の照射細胞に対する影響についての研究、③バイスタンダー細胞の、別に照射された細胞に対する影響についての研究、の3研究を予定している。 平成30年度は①バイスタンダー細胞の非照射細胞に対する影響についての研究から開始した。この研究では、バイスタンダー効果を受けたバイスタンダー細胞が、非照射細胞に対してどのような影響を与えるかを検討する。 まず本実験系における諸条件の検討を行うため、使用細胞を正常細胞株である初代ヒト線維芽細胞AG01522とし、照射する線種をエックス線に固定して研究を開始した。 実験はプレート2枚とインサート1枚に細胞を培養し、プレート1枚に対してエックス線を照射した(照射細胞)。その後照射細胞とインサートに培養した非照射細胞を共培養し、バイスタンダー細胞を作製した。一定時間共培養した後、バイスタンダー細胞をもう1枚のプレートに培養した非照射細胞と共培養し、二次的バイスタンダー細胞を作製した。その後53BP1の免疫蛍光染色やMicronuclei法を用いて、それぞれの細胞のDNA二重鎖切断について定量的に評価した。まず数回の実験による検討の結果、照射細胞とバイスタンダー細胞の共培養時間は2時間とした。現在バイスタンダー細胞と二次的バイスタンダー細胞の共培養時間を5時間、72時間で比較を行い、条件を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二次的バイスタンダー細胞に関する研究は報告もごくわずかであり、参考となる文献に乏しく、実験系の確立をするまでに多くの時間が必要であった。特にバイスタンダー細胞と二次的バイスタンダー細胞の共培養時間についての検討などに多くの時間がとられてしまい、正常細胞株以外の細胞株を用いた研究や、炭素イオン線を用いた研究まで進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度については研究に関する諸条件の検討を行った後に、腫瘍細胞株としてのヒト非小細胞肺癌由来細胞株A549、バイスタンダー効果を起こさないことが報告されているヒト軟骨肉腫由来細胞株HTB94を用いて、エックス線照射を行う。また、AG01522も含めて、炭素イオン線照射も行い、エックス線照射と炭素イオン線照射での違いについて比較検討を行う予定である。 平成32年度については、残りの2研究、バイスタンダー細胞の照射細胞に対する影響についての研究、およびバイスタンダー細胞の、別に照射された細胞に対する影響についての研究を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
研究に当初予定より若干の遅れが生じており、実験に使用する試薬等の消耗品などの購入が不要であったため。
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