2021 Fiscal Year Research-status Report
超高精細X線CT装置を用いた包括的骨脆弱性評価に関する研究
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18K15624
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
長谷川 浩章 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (20420218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超高精細CT / マイクロCT / 海綿骨 / 骨梁構造解析 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来的なマイクロCT装置によるin vitro骨梁形態評価に対する超高精細CT装置によるin vivo評価の優位性・同等性に関する仮説を立証することを目的とする。令和3年度は3Dプリンタを用いて作成された3種類の人工腰椎モデル(骨粗鬆症から健常骨までの骨密度に応じて、各モデルの粗鬆化の程度は高度・中程度・低度である)を対象として、超高精細CT装置にて得られたデータの予備解析を行った。海綿骨を抽出する上で必要な二値化については局所自動二値化を用いて、3次元的骨梁構造形態解析を行った。骨梁構造指標には、海綿骨量(BV/TV)・骨梁厚(Tb.Th)・骨梁数(TN)、骨梁間隙(Tb.Sp)・vBMD(volumetric bone mineral density)・TMD(Tissue minaral density)・骨量連結性(Conn.D)・骨梁構造モデル指標(Structure model index)を用いた。予備解析の結果から、超高精細CT装置の画像取得条件を絞り込み、マイクロCT装置との比較を行った。二値化については、超高精細CT装置の画像に対しては局所自動二値化、マイクロCT装置に対しては固定閾値二値化を適用した。解析対象は海綿骨のみとして、海綿骨領域を3次元的に6分割して骨梁構造指標を算出した。マイクロCT装置から得られた画像の海綿骨は細く、超高精細CT装置から得られた画像の同一部位の海綿骨は厚さが大きくなる結果となった。超高精細CT装置から得られた画像はマイクロCT装置から得られた画像と形態的に一致するが、骨梁が厚くなる傾向を認めた。海綿骨が集簇するような部位では分離表示されず一塊のように抽出された。一方、スライス厚より大きい部位ではマイクロCT装置による画像に比べても同等の骨の幅を認めた。超高精細CT装置の骨梁画像は、高い分解能を有する画像取得条件を用いることで、マイクロCT装置に比べて同等の厚さにて再現可能と言えることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は画像解析を迅速に行い、研究成果の取り纏めを行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、研究の遂行が大きく制限された期間が断続的に続いた。令和3年度は、人工腰椎モデルの超高精細CT装置から取得された画像のみを用いて予備解析を網羅的に行った。人工腰椎モデルの粗鬆症化程度は高度・中程度・低度の3種類を対象とした。予備解析にて得られた結果を元にして、超高精細CT装置およびマイクロCT装置から取得された画像を比較することとした。マイクロCTとの比較においては、詳細な3次元的骨梁構造形態解析を行うために、対象モデルを粗鬆症化中程度のみとし、超高精細CT装置の画像取得条件の絞り込みを行った。概ね画像解析まで終了したが、研究成果の取り纏めには至っていないため当該研究課題の進捗状況としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
海綿骨の3次元的骨梁構造形態解析による骨梁構造指標および応力解析の結果から、マイクロCT装置に対して超高精細CT装置における高分解能撮影の優位性・同等性をファントムデータから検証し、in vivoにおける骨梁形態評価の可能性を明示したいと考えている。令和3年度期首の時点での研究計画では、超高精細CT装置による画像取得から研究結果を取り纏める予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大が影響し研究に遅延が生じた。中断した期間があったものの画像解析まで行った状況である。令和4年度については研究結果の取り纏めが不十分であるため、研究期間を延長し、研究結果の取り纏めと研究成果の公表に関する作業に充てる予定である。必要があれば追加の解析を行うことも考慮しているが、令和3年度に画像解析を2段階にて進めたことにより精度が高い解析結果が得られていることから、可及的速やかに解析結果に対する評価および研究の総括を進める予定である。
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Causes of Carryover |
理由:令和3年度は研究結果の取り纏めと当該研究課題の総括として研究成果の公表を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、研究の遂行が大きく制限された期間が断続的に続いたことから、研究の進捗状況に遅れが生じた。概ね画像解析は終了したものの、令和3年度は画像解析に多くの時間を費やしたため、研究結果の取り纏めが不十分な状況にある。研究成果の公表を行うために1年間の研究期間の延長を行い、令和3年度において使用予定であった金額については繰り越して、研究の総括が円滑に進められるよう計画している。 使用計画:画像解析に要した諸経費の精算が済んでいないことに加え、研究成果の公表に必要となる費用を見込み、未使用額はそれに要する経費に充当することとしたい。
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