2019 Fiscal Year Research-status Report
Effect of LET of heavy ion beam on cancer metastasis
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18K15632
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 和彦 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70718981)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭素イオン線 / 線エネルギー付与 / 浸潤能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、炭素イオン線照射後のがん細胞浸潤能を線エネルギー付与(Linear Energy Transfer: LET)の違いに着目して検討した。 対象の細胞である、MDA-MB 231 (高浸潤性ヒト乳癌細胞株)、HT1080 (ヒト線維肉腫細胞)に炭素イオン線(135, 290 MeV/n,mono)を、LETを15, 24, 30, 50,54, 65, 70, 85 keV/μmと条件を変えて照射した。細胞照射は、0.5,1 Gyを照射する方法と、各LETで細胞生残率が70%となる線量を照射する方法の2種類を用いた。照射後,24時間後に培養フラスコに接着している細胞のみを、マトリゲル(0.1 μg/ mL)をコートしたケモタキセル(pore size = 8 μm)の上層に3.0×10^5 cells / wellとなるように播種した。細胞播種24時間後、ケモタキセルの下層に移動した細胞を浸潤細胞としてカウントした。 MDA-MB 231、HT1080共にLETが増加すると、細胞浸潤能は抑制された。しかし、LET依存的ではなく、あるLET値で変化する傾向が得られた。MDA-MB231の場合、65 keV/μmにおいて、それまでの浸潤能と有意な差がみられた。HT1080の場合、50 keV/μm以降の条件において、LET依存的に細胞浸潤能が抑制される結果を得た。一方、各LETで細胞生残率が70%となる線量を照射する方法を用いても、この傾向は変わらなかった。 本年度の実験結果より、LETががん浸潤能の抑制に寄与することが示された。また、細胞種によって、効果的に細胞浸潤を抑制させるLET値に違いがあることも分かった。よって、がん種によって最適な照射条件(LET)の選定を行なう事は、細胞死、炭素イオン線の転移抑制効果の面で重要な因子となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞種によって、効果的に細胞浸潤を抑制させるLET値に違いがあることを見出した。本研究成果よって、がん種によって最適な照射条件(LET)の選定を行なう事が、細胞死ならびに炭素イオン線の転移抑制効果の面で重要な因子となる可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策として、さらに腫瘍細胞の種類を増やし、各がん種によって最適な炭素イオン線のLET値をデータベース化する。
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Causes of Carryover |
本年度は、細胞実験に絞った研究を進めており、動物実験まで行わなかった。次年度は、動物実験を遂行する。
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