2018 Fiscal Year Research-status Report
圧縮センシング技術を用いた臨床用MRIの至適撮像条件の検討および臨床応用
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18K15645
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
野崎 太希 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医幹 (80769646)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 圧縮センシング / MRI / 高速撮像 / 高解像化 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
MRIは撮像時間がCTと比べても圧倒的に長く、検査時間の短縮が望まれる一方、中枢神経、関節、腹部領域などにおいて高分解能で詳細な解剖構造の描出という相反する事項も日常診療で求められている。本研究の目的は、圧縮センシング(CS)を実装した臨床用MRIにおいて日常診療への応用・普及を可能とするために、至適撮像条件の検討と画像評価を行うことである。初年度は健常ボランティアを用いて、頭部MRI/MRA、腹部MRI/MRCP、関節MRIにおいて撮像条件の検討と画質評価を行った。 1.頭部MRI/MRA:CS acceleration factorを1.2-1.5の範囲で変化させていくことでCSを用いない通常のMRI撮像に比較して12.5-38.4%の範囲で撮像時間の短縮が可能であり、画質評価においても2群間で有意差をもった画質低下は生じず、読影が可能であることを示すことができた。 2.腹部MRI/MRCP:CS factorを1.4-1.5程度の範囲で撮像することで、32.8-44.3%の撮像時間短縮が可能となった。特筆すべきは、短時間で撮像できることで呼吸が安定しているうちにMRCP撮像を終えることができ、有意差は示すことができなかったものの、CSを用いない通常のMRI撮像と比べて画質が向上する傾向を示すことができた点である。 3.関節MRI:同一被験者、同一撮像時間にて、CSを実装した1.5T-MRI装置と、CSを実装しない3T-MRIにおいて関節MRIの画質評価を行った。腱板、骨、関節液、関節唇、筋肉いずれも描出能はCSを用いた1.5Tと通常の3T-MRIの間で有意差はみられなかったが、CSを用いない通常の1.5T-MRIは通常の3T-MRIに比べて、筋肉の描出能が有意に低かった(p<0.05)。つまり、CSを用いていることで従来の撮像時間のままで、画質向上を行うことが可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度として、圧縮センシングを用いた臨床用MRIへの応用を行うために、健常ボランティアを用いた至適撮像条件の吟味・検討を行い、圧縮センシングの有用性の確認および今後の実際の日常診療への応用の方向性を決定することができた。これらの初期の研究結果の一部を、国内外での学会や研究会で発表することができている。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で大きな障害はなく、基本的な計画通りに研究を継続して進める予定である。初年度に検討した撮像条件を実臨床に組み込み、さらに撮像時間短縮が可能で望ましいケースと、撮像時間は従来と同様のままにして高解像度で撮像することが望ましいケースの症例選択の検討や、運用にあたっての問題点の洗い出し等も行い、至適撮像条件を再検討していくことおよび臨床運用での実践を考えている。
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Causes of Carryover |
データ収集用のPCやモニターの金額が当初の計画よりも安価になったことで予定よりも使用額が少なくなったが、次年度は画像処理用PCの購入や成果発表、論文作成にかかわる英語校正費などに用いる予定である。
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