2019 Fiscal Year Research-status Report
圧縮センシング技術を用いた臨床用MRIの至適撮像条件の検討および臨床応用
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18K15645
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
野崎 太希 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医幹 (80769646)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 圧縮センシング / MRI / 高速撮像 / 高解像化 / 最適化 / 臨床応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に検討した圧縮センシング(CS)の撮像条件を日常診療へと応用・普及していくために、特に胸郭出口症候群におけるCSを応用したMRI撮像の方法論と診断法の確立という点と、小児領域の頭部MRIでの臨床応用を開始した。まず胸郭出口症候群であるが、MRIでの診断では上肢挙上位と下垂位における胸郭出口部の高分解能撮像が必要であり、そのために3Dシーケンスを用いる。また血管評価のためにMR血管撮影も用いるが、撮像時間を短くするためにいずれにおいてもCSを導入した。対象者12名に対して、3D-PDWI-CUBEと2D-PDWI-propeller、そしてTOF-MRAでの上肢挙上位・下垂位での画質評価を半定量のスケール指標を用いて行った。また上肢挙上位・下垂位での胸郭狭小化率、腕神経叢および鎖骨下動静脈の狭小化率の定量評価と胸郭出口における面積の計測を放射線科専門医にて行なった。3Dシーケンスの画質は2Dシーケンスよりも低かったが、MRAにおいて有意差は得られず、CSを用いたMRI画像は臨床的に有用であることが示された。再現性についても観察者間信頼性において、0.7をこえていることが示された(第47回日本磁気共鳴医学会にて発表)。次に小児領域の頭部MRIでのCSの臨床応用であるが、小児での鎮静処置を減らすためにも検査の苦痛を緩和するためにも、撮像時間の短縮が必須であり、昨年度成人領域で確立できた撮像条件よりも少し緩い条件にして臨床に組みこみはじめた。現在までに順調に撮像できており、診療や読影に支障は生じていない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目として、圧縮センシングを用いた臨床用MRIへの応用をスタートした。昨年に検討した至適撮像条件をもとに、圧縮センシングの日常診療への組み込みを行い、その有用性についての検討・解析を一部行った。またこれらの初期の研究結果を、学会や研究会で発表することができている。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で大きな障害はなく、基本的な計画通りに研究を継続して進める予定である。本年度に臨床に組み込みはじめたMRIの症例蓄積を行い、従来までに撮像されてきたMRIとの比較・検討を行い、有用性および実臨床での問題点についての調査・検討を行い、国内外での学会発表と論文化を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画での2台目のコンピューター購入について、初年度に購入した1台目のもので解析ができたため、使用額に差が生じてしまったが、今後は、評価者および評価項目を増やしての解析が必要になるため、その購入にあてる資金としたい。また論文作成の資金にも充てたいと考えている。
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