2019 Fiscal Year Research-status Report
経時データを用いたアレルギー性疾患に関する胎児期~乳幼児期の要因探索
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18K15658
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永井 雅人 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (60707199)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレルギー / DOHaD仮説 / 出生コホート / ライフコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、1)個人レベルの経時データから胎児期~乳幼児期を通したアレルギー性疾患に関連する曝露要因を探索すること、2)胎児期~乳幼児期の間でいつの時期の曝露要因が最も影響を与えるのかを検討すること、を目的としている。 三年計画の二年目は、小児の食物アレルギーに対する妊娠中から乳児期の食習慣の影響を明らかにするための解析モデルを検討した。妊娠中は食習慣が変化することが少なくなく、また児においては乳児期の早期にアレルゲンとなる食品の摂取を開始することが後の特定の食物アレルギーを予防することが示唆されている。以上の曝露状況の変化を考慮するため、対象者の基本特性の分布を確認した上で、Stabilized weightを用いたMarginal structural modelにて解析モデルを作成した。 アウトカムは乳幼児期に最も多い鶏卵のアレルギーとし、現時点でのデータ収集状況を踏まえて2歳児を解析対象とした。曝露は妊娠初期および妊娠中期の各時点における卵摂取頻度に加え、生後半年までの鶏卵摂取の有無とした。 9744人を解析した結果、妊娠初期で卵摂取頻度が<3/週の者に対して≧3/週の者の児における卵黄または卵白について血液検査・皮膚検査で異常があったもしくは食べてアレルギー症状が出たオッズ比(95%信頼区間)は0.91(0.75-1.09)と関連はなかった一方、妊娠中期においては1.16(0.97-1.38)と関連する傾向が観察された。また、生後半年の時点で卵をまだ食べていない児は、食べている児に比べてオッズ比が1.47(1.10-1.96)と関連し、先行研究の結果が再現された。 以上のプレ解析より、本研究目的を明らかにするための解析モデルを検証し、最終年度における解析方法が固まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三年計画の二年目は、最終年度に向けて解析モデルを作成することが目標であった。実際に解析モデルを構築し、プレ解析を実施した。その結果、最終年度における解析方法が固まった。
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Strategy for Future Research Activity |
三年計画の最終年度は、本年度検証した解析モデルを精査するとともに、他の曝露要因やアレルギー疾患に対しても本モデルを適用した解析を進めていく。その結果より本研究の目的である、胎児期~乳幼児期を通したアレルギー性疾患に関連する曝露要因を同定し、その曝露要因が最も影響を与える時期を明らかにする。また、得られた結果の論文作成を進めていく。
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Causes of Carryover |
理由:人件費や参加を予定していた学会およびデータ収集にかかる費用について、一部他の予算から支払うことになったため当初予定していた支出よりも少なく抑えられた。
使用計画:プレ解析の結果を踏まえ、取得済みデータの電子化を促進させ、解析対象者数を拡充させる。また、コロナウイルスの影響で今後出てくる研究の障害・遅れなどを最小限にするために利用する。
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