2018 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞および網羅的遺伝子解析を用いた重症インスリン抵抗性症候群の病態解明
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18K15660
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高澤 啓 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50749463)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン受容体異常症 / SGA / 脂肪萎縮症 / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床像の解明という点においては、小児内分泌専門医により、臨床的に診断された A型インスリン抵抗症小児例(6例)を対象とし、遺伝学的解析結果およびその臨床像を比較検討した。本検討においては以下の知見を得た。1) 6例中4例に、新規変異を含めた4種のINSR変異を認め、それらはいずれもチロシンキナーゼドメインに位置し、優性阻害効果が推測された。2) INSR変異陽性例の臨床上の鑑別は困難であったが、糖尿病家族歴、脂肪肝での鑑別が可能かもしれない。3) 国内外の既報とも比較し、出生体重SDSはINSR異常症の重症度に比例することを示し、SGA (small for gestational age) 出生はType A IRの臨床的特徴である可能性が示唆された。この臨床研究の成果は、第91回日本内分泌学会学術総会(2018/4/26)、第61回日本糖尿病学会年次学術集会(2018/5/25)において口演発表を行った。また研究内容は、論文化し、J Diabetes に掲載された(Takasawa K, et al. J Diabetes. 2019 Jan;11(1):46-54.)。 脂肪萎縮症を除く先天性インスリン抵抗性症候群の原因遺伝子解析は継続的に行っており、国内多施設から依頼を受け解析結果を蓄積している。 INSR遺伝子変異陰性例に関しては、次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析を並行して行っており、新規原因遺伝子の探索を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
INSR遺伝子変異陰性例に対する網羅的遺伝子解析では、新規原因遺伝子の同定が進まず。今後は臨床像のオーバーラップする脂肪萎縮症を含めた疾患群も対象に加え解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
先天性インスリン抵抗性症候群の原因遺伝子解析を継続し、さらなる症例の蓄積を行っていく。
INSR遺伝子変異陰性例および臨床像のオーバーラップする脂肪萎縮症を含めた疾患群を対象に加え、次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析・新規遺伝子探索を進めていく。
更に、一部のDNA修復に関わる遺伝子異常による症候群において、若年性に高度インスリン抵抗性を主体とした糖尿病を発症することに着目し、その発症機序を分子遺伝学的に解析する研究へと展開を広げていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 実験試薬等の物品購入額の請求が年度を越えて繰り越しとなっている。 (使用計画) 繰越金は次年度の物品購入費に加え使用する予定である。
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Research Products
(3 results)