2018 Fiscal Year Research-status Report
非コードRNA転写によるエンハンサー活性制御と免疫不全症、発がんメカニズムの解明
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18K15661
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯田 健志 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80815225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エンハンサー活性制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的1:ThymoD転写、Rループ形成、脱メチル化抑制機構の解明については、同領域のメチル化を評価するため、バイスルファイトシークエンス法を組み合わせたPCR法のデザインを行った。同領域が高メチルであるB細胞株と低メチルであるT細胞株を用いて各エンハンサードメインを評価できるプライマーを設計することができた。同領域に変化をもたらす可能性のある変異たんぱく質の影響について解析を進める予定である。
目的2:エンハンサーリモデリングに関与する因子を抽出するため、腫瘍細胞12検体に対してのRNAseq、全エクソンシークエンスを実施した。現在、RNA発現解析と変異解析を実施している。変異を有するたんぱく質の候補を決定して、同タンパク質の有り無しによって、エンハンサー活性化に与える影響について評価を行う予定である。
目的3:エクソームシークエンスで変異が見つからなかった液性免疫不全症を対象に、クロマチンの凝集状態を評価する目的でATACseqを実施した。特にB細胞が欠損し、B細胞分化に必須のシグナル伝達因子を欠損したケースで同たんぱく質のプロモーター上の非コード領域の変異を有したケースにおいて、同領域のクロマチンが閉じている状況であることを確認している。本変異により、候補転写因子の結合に影響が生じて、ヒストン修飾が生じず、転写が生じないことを確認している。よって新生RNAが欠損、mRNAが低下、蛋白質の発現が低下していることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンハンサーのメチル化制御を評価するためのPCR法の整備ができ、腫瘍細胞に対してのシークエンスを終了できた。また実際にエクソームシークエンスで診断がつかなかった患者さんに対してのATACseqの有用性についても確認でき機能解析につなげていくことができており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍細胞から得られたエンハンサー活性化に影響を与えうる候補たんぱく質の有り無しについて、in-vitroで造血幹細胞からT細胞へと誘導する実験系を用いてR-loop形成とメチル化の関係性について引き続き評価を進める予定である。また候補たんぱく質に対するインヒビターなど化合物を用いた解析を実施して治療応用につながる研究へ展開していきたい。 患者検体における解析では、転写開始に影響をもたらす変異であることを確認しており、今後RNAポリメラーゼIIの結合及び活性化に異常がないかChIP-PCRないしはChIP-seqを用いた確認を予定している。
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