2018 Fiscal Year Research-status Report
Application of methylation rate in acute childhood leukemia to microscopic residual disease analysis.
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18K15664
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
篠原 珠緒 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (80747452)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児急性リンパ性白血病 / 微小残存病変 / 遺伝子メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
・公的データベースに登録されたB前駆細胞型ALL663例、T細胞型ALL101例と、寛解期骨髄86例におけるメチロームデータを対象に約48.5万カ所のCpG配列を分析した。その結果、B前駆細胞型ALL症例とT細胞型ALL症例のそれぞれに、白血病細胞で高いメチル化状態を呈し、かつ、寛解期骨髄で非メチル化状態を呈する領域を複数ヶ所同定した。これらのCpGサイトは部位的な集積があった。 ・そこで、特に弁別能の高い領域に存在するCpGサイト群の平均メチル化率を、細胞株(n=37)ならびに凍結保存初発時臨床検体(n=49)を用いて次世代シークエンサーで解析した。その結果、北欧の臨床検体におけるメチロームと同様に、同領域は白血病細胞株でも高いメチル化状態を呈した。さらに正常コントロールとして用いた正常リンパ球では非メチルを呈した。ただしMRDの同定には、ほぼ100%の平均メチル化率が期待されるものの、完全に100%を示す部位は存在しなかった。 ・また、凍結保存初発時臨床検体でも同部位を解析したところ、正常細胞の混入を表していると考えられる非メチルのピークと、白血病細胞に由来する高メチルのピークに加え、0-100%の間のメチル化率を示すリードが多く見られた。 ・そこで候補解析領域の中で最も弁別能が高い部位について、各CpGサイトに分けてより詳細に解析したところ、全ての細胞株でほぼ100%に近いメチル化状態を呈するCpGサイトの一群がまとまって存在していた。このCpGサイト群のみを抽出して平均メチル化率を再解析すると、中間のメチル化ピークが消え、細胞株のみならず臨床検体においても明瞭な二峰性のピークがみられた。なお、正常リンパ球では変わらず0%であった。 ・すなわち、ここまでの解析によって、正常細胞と白血病細胞をより効率よく弁別する部位を同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・公的データベースから抽出した白血病に特異的なメチル化部位が、細胞株および凍結臨床検体でも高メチル化を示し正常リンパ球で低メチル化を示すことを、次世代シーケンサーを用いたメチローム解析でも証明できた。 ・また、次世代シーケンサーで各CpGサイトのメチル化率を個別に解析することで、特に白血病と寛解期骨髄とを効率よく弁別しうる部位が存在することが明らかになった。 ・そのため、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
日本小児白血病研究グループ(JPLSG)のALL 治療の臨床研究で行われた、従来のMRD解析方法であるIg/TCR解析の余剰検体を用いて、メチル化率の解析結果が一致することを検証する。本方法に関しては特許取得の手続きを進めている。本学における研究倫理審査の研究計画書も作成中である。研究計画書をJPLSGの研究審査委員会に提出し、2019年度中に解析を行って成果を英文論文として発表する。すでに解析のための倫理的手続きと特許の申請手続きは進んでおり、初期段階の解析をスタートするのに必要な検体と機器は全て当研究室および学内に完備された。
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Causes of Carryover |
今回の検討では公的データベースを用いた解析を中心に行い、この費用は発生していない。次世代シークエンサーを用いた解析で白血病細胞を弁別するために特徴的な遺伝子メチル化領域を同定することができたが、これ以降の臨床検体を用いた解析を次年度以降の課題とし、現在計画中である。
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