2018 Fiscal Year Research-status Report
難治性腎疾患における骨髄由来間葉系幹細胞を利用した新規治療法の研究開発
Project/Area Number |
18K15665
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松岡 大輔 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (90814567)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 巣状糸球体硬化症 / アドリアマイシン腎症 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
巣状糸球体硬化症は難治性ネフローゼ症候群の代表的疾患であり予後不良である。治療法は十分に確立されておらず、腎不全に至り腎移植を行った後、半数が再発するとされる。そこで、巣状糸球体硬化症における尿蛋白抑制、慢性腎不全への移行段階での進行抑制、あるいは、腎機能を改善させることを目的とした新規治療開発研究を行う。 本研究は、アドリアマイシンを投与し腎障害を引き起こしたラットの腎臓に、培養から得られた骨髄由来間葉系幹細胞を全身投与、もしくは、立体組織を移植することによって、腎機能が改善するか、あるいは、腎組織が再生されるのかを評価する。 当初骨髄由来間葉系幹細胞を用いるとしていたが、臨床での実用化を想定した場合、自家細胞移植の方が有利と判断し自家脂肪由来間葉系幹細胞を用いることとした。アドリアマイシン投与1週間前に膀胱周囲の脂肪を採取し、脂肪由来間葉系幹細胞を回収し培養を行った。アドリアマイシン投与量を調整し、間葉系幹細胞の有効性を評価できるアドリアマイシン腎症ラットのモデルを確立した。脂肪由来間葉系幹細胞全身投与をし、尿検査、血液検査、腎病理評価を行った。これらの結果、尿蛋白抑制効果があること、腎病理所見が軽度であったことが確認できたため、脂肪由来間葉系幹細胞が有効である可能性が示唆された。 今後は間葉系幹細胞投与による治療効果の機序を明らかにするため、組織学的解析や遺伝子発現解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた骨髄由来間葉系幹細胞から自家脂肪由来間葉系幹細胞に変更して実験を行っている。脂肪細胞由来間葉系幹細胞の全身投与によって、尿蛋白を抑制し、腎病理所見では軽度でることを確認した。 以上から、当初の計画を変更してはいるものの研究遂行の遅れや支障はなく、進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、われわれは、アドリアマイシン腎症ラットに対し自家脂肪由来間葉系幹細胞全身投与の有効性を確認することができた。今後は間葉系幹細胞投与による治療効果の機序を明らかにするため、組織学的解析や遺伝子発現解析を行っていく。さらに、治療効果を高めるための細胞移植手段として、間葉系幹細胞全身投与のほかに立体組織移植での効果も検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、次年度は間葉系幹細胞投与による治療効果の機序を明らかにするため、組織学的解析や遺伝子発現解析を行う必要がある。また学会参加費や論文化に関わる費用が必要となる。 そのため、次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて研究に必要な物品費や旅費として使用する予定である。
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