2018 Fiscal Year Research-status Report
川崎病患者のイムノグロブリン大量療法不応答性に関与する遺伝要因の探索
Project/Area Number |
18K15666
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天野 勇治 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (50624681)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 川崎病 / IVIG療法抵抗性 / 遺伝子解析 / pooled genome sequencing |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎病による冠動脈の炎症は病日ごとに急速に進行するため、診断後速やかに有効な治療を実施することが、後遺症を残さない上で重要である。IVIG療法は川崎病急性期の標準療法としてほぼ全ての患者に実施されている。しかしながら、約2割の患者はIVIG療法に不応答であり、炎症の長期化の末、高頻度に冠動脈病変を合併することが問題である。本研究では高精度なIVIG療法不応リスク指標の確立を目的とし、IVIG療法抵抗性に関与する遺伝的要因の探索を行う。 本年度は①候補遺伝子アプローチにより見出したIVIG不応答患者に集積する低頻度バリアントの機能解析を行った。本バリアントは3’-UTRに位置することから、mRNAの安定性に影響を及ぼす可能性が高い。それゆえ、まず本バリアントをヘテロで有する患者PBMC、EBウイルス不死化B細胞を用いて、各アレル由来のmRNA量をPCR-RFLPにより比較した。更に炎症環境や、バリアント領域に結合することが予測されるmicroRNA存在下でのmRNAの安定性についても同様に、EB不死化B細胞を用いてPCR-RFLPにより評価した。更に本バリアントが遺伝子の翻訳効率に与える影響に関して、Luciferase assayにより評価した。②pooled genome を用いたエクソーム解析により、IVIG不応答性に関与する遺伝子バリアントの低深度スクリーニングを行った。見出された候補遺伝子領域に対して、再度pooled genomeを用いた高深度シーケンシングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①の先行研究より見出した感受性バリアント解析において、通常環境下におけるバリアントアレル由来mRNAの安定化、並びに炎症性サイトカイン存在下での不安定化傾向を確認しているが、有意差は得られていない。細胞種並びに複合的な環境を考慮に入れ、更なる解析を要する。一方②の感受性バリアント探索において、新たに2つの候補バリアントを見出すことが出来ている。それ故、おおむね順調な進展と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
②で見出した2つの候補バリアントの検証を第一に行う。サンガーシーケンスによる個々のジェノタイピングを行い、正確なマイナーアレル保有率を調べ、より大規模なコホートでの再検証へと進める。
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