2020 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring novel genetic factors associated with intravenous immunoglobulin therapy-unresponsiveness in Kawasaki disease patients
Project/Area Number |
18K15666
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天野 勇治 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (50624681)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 川崎病 / IVIG療法抵抗性 / 遺伝子解析 / pooled genome sequencing |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎病は冠動脈の炎症を特徴とする全身性血管炎であり、本邦における小児後天性心疾患の最大の原因である。川崎病冠動脈炎は病日ごと急速に進行し、12病日頃には瘤形成に至る。それゆえ、発症早期に奏功する治療を選択し、炎症を抑えることが後遺症を残さない上で重要となる。IVIG療法は川崎病急性期の標準治療であり、ほぼ全ての患者の第一選択療法として用いられる。約8割の患者はIVIG療法によって早期に解熱し、冠動脈に後遺症を残すリスクは数%に抑えられる。一方、約2割IVIG療法に不応答な患者がおり、炎症の長期化の末、高頻度に冠動脈病変を合併することが問題となっている。それ故、IVIGに対する応答性を事前に予測することが、川崎病の後遺症を残さない上で非常に重要である。本課題はIVIG抵抗性発生機序の解明および川崎病急性期における治療選択指標の確立を目的とし、川崎病患者のIVIG療法抵抗性に関与する遺伝子バリアントの同定を行う。 本年度は昨年度に引き続き候補領域に対する高深度pooled genome sequencingを行い、新たに2つの候補バリアントを選出した。前年度までに見出した6つの候補バリアントを加え、計 8つのバリアントに対して個々にジェノタイピングを行った。その結果、SMURF2遺伝子に位置するミスセンス変異バリアントがIVIG不応性川崎病のリスクバリアントであることを見出した(p=4.5x10^-5)。本バリアントは日本人の約0.6%が有する低頻度バリアントであるのに対し、IVIG不応性川崎病患者の約13%が本バリアントを保有していた。次にIVIG不応性川崎病患者において本バリアントが及ぼす影響について精査した結果、本バリアントが冠動脈障害発生に対する防御因子であることが明らかとなった(p=0.0365)。
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