2018 Fiscal Year Research-status Report
CCL2を抑制する間葉系幹細胞を用いた新生児慢性肺疾患に対する新規治療法の開発
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18K15667
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60711083)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 新生児慢性肺疾患 / 間葉系幹細胞 / 7ND / CCL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児慢性肺疾患(chronic lung disease; CLD)に対する新規治療法として、間葉系幹細胞(MSC)を用いた幹細胞療法が注目されている。しかしMSCはCLDの病因となるマクロファージに対する抑制効果が乏しいと言われている。そこで我々は、マクロファージの遊走及び活性化を強く促すケモカイン(CCL2)を阻害する新しいMSC(7ND-MSC)に注目し、動物実験により7ND-MSCのCLDに対する有効性を検討した。 CLDモデルは、新生仔ラットを生直後から日齢15まで80%高酸素に暴露することで作製した。日齢5に、7ND-MSC、通常のMSC、または酢酸リンゲル液を右外頸静脈から投与した。日齢15に、肺組織の体積密度、右心室の壁肥厚(右室壁重量/左室壁+中隔重量)を検討し、肺胞発達遅延や二次性肺高血圧症に対する治療効果を確認した。また、肺組織中のIL-6及びCCL2を含むmRNA発現の測定を行い、抗炎症効果を確認した。その結果、肺組織の体積密度は7ND投与群で有意に高く、肺胞発達遅延に対する治療効果を認めた。さらに、右心室の肥厚は7ND投与群で有意に軽く、二次的な肺高血圧を軽減させたと考えられた。また、IL-6 mRNAおよびCCL2 mRNAは7ND投与群で減少しており、強い抗炎症効果を認めた。以上の結果から、7ND-MSCはCLDモデルラットに対し、通常のMSCよりも強い抗炎症効果、治療効果を有することが確認された。 現在さらなる評価として、7ND-MSCの肺内での生着確認、免疫組織学的染色を用いた肺高血圧評価、肺胞洗浄液や血液を用いた細胞学的評価などを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生児慢性肺疾患(CLD)モデルラットに対する7ND-MSC移植の効果確認について、形態学的改善効果を中心に確認することができ、おおむね達成することができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作製した肺・心臓切片を用いた免疫組織学評価や、肺胞洗浄液・血液を用いた細胞学的評価を行い、7ND-MSC投与による治療効果についてさらに検討を加える予定である。また、安全性評価や7ND-MSCの体内動態確認、作用機序解明についても着手する予定である。
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Causes of Carryover |
7ND-MSC投与による効果確認について、形態学的評価による確認を優先したことで、免疫組織学的評価や各種画像検査を行うことができず、必要な物品の購入ができなかったため。前年度に行うことができなかった免疫組織学的評価や各種画像検査を行うために必要な物品の購入に使用する。
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