2022 Fiscal Year Research-status Report
乳児期の睡眠習慣と睡眠パターンが小児の認知行動面に与える影響
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18K15669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 絵美 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 特任助教(常勤) (30815824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳幼児期 / 神経発達症児 / 定型発達児 / 睡眠習慣 / 睡眠障害 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠は脳の発達に重要な生理機構だが、3歳までの睡眠の問題は後年の発達のリスクを高めるとされている(Touchette et al., Sleep. 2007)。しかし、乳児期のどのような睡眠の問題が後年の発達に影響を及ぼすかについては明らかとなっていない。また、神経発達症(NDD)児は定型発達(TD)児に比して睡眠の問題を有することが多い(Mindell, & Owens, A CLINICAL GUIDE TO Pediatric SLEEP. 3rd ed. 2015)。 これらのことから日本人乳幼児の睡眠を総合的にスクリーニングするツールの開発が必要であるが、本研究ではその前段として、後年の発達に影響があるとされる3歳までの睡眠の様子について養育者の回顧を通してNDD児とTD児の違いを明らかにし、早期介入が必要な睡眠の問題を明らかにすることを目的として、海外で用いられている乳幼児期の睡眠習慣を評価する養育者自記式の質問紙、Brief infant sleep questionnaire(BISQ)(Sadeh A, Pediatrics. 2004)を基に、日本の添い寝文化等の睡眠習慣、住環境を反映したインタビューガイドに沿ってNDD児とTD児の養育者を対象に、3歳までに睡眠で養育困難を引き起こしていたケース等、その時期の問題の内容や月齢による変化等についてインタビュー調査をし、睡眠の問題を拾い上げた。その結果、0-2歳の全年代で、NDD児はTD児に比して就床時刻が有意に遅く(中央値:NDD児 22:00、TD児 0-1歳代20:30、2歳代21:00)入眠潜時が有意に長い(中央値:NDD児60分、TD児15分)等の睡眠の問題を抱えており、養育者が感じた睡眠の問題は、NDD児では全年代で寝つきの悪さや中途覚醒の問題、夜泣き等の訴えが上位を占めていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経発達症児の養育者を対象にインタビューを行った結果、神経発達症に起因する困難さがあると推察された。より適切な質問票の作成のためには、年齢に伴う睡眠の状態の変化に加え、発達特性に起因する睡眠の問題を明らかにする必要があると考え、定型発達症児の養育者へのインタビューも行っている。新型コロナウイルス感染症の影響で、対象年齢の小児、とりわけ定型発達児の受診者数が当初の想定よりも少なく、インタビュー調査は難渋しているが、2023年度の学会発表に向けて解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
睡眠障害のある神経発達症児、定型発達児に関するカルテ情報、およびインタビューデータを基に、年齢に伴う睡眠の状態の変化に加え、発達特性に起因する睡眠の問題を検討し、学会発表、並びに論文執筆を行う。
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Causes of Carryover |
学会発表を行うべく、定型発達児のデータも収集していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、対象年齢の小児の受診者数が当初の想定よりも少なく、かつ、感染拡大の影響で、調査を中断せざるを得ない時期もあった。調査再開後も、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、慎重に進めているため、調査に時間を要しているため。
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