2019 Fiscal Year Research-status Report
小児プロテインC欠乏症の発症時期に関する包括的リスク評価
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18K15675
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井上 裕文 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70650604)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロテインC欠乏症 / 遺伝性血栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
山口県内の重症心身障がい児・者におけるプロテインC(PC)欠乏症の有病率を明らかにするため, 大島分類1~4に相当する患児・患者を対象とした血栓症関連の調査を行っている. 1)これまでに49人のスクリーニングを行った.このうち18人で下肢の深部静脈血栓症(DVT)を認めた.またD-dimerの上昇を認めたのは8例であった.PC活性<75%は45例中10例,プロテインS(PS)活性<60%は45例中5例, 45 例の平均PC/PS比は1.13であった.遺伝性血栓症の疑いがあり, 同意の得られた6人に遺伝子検査を施行したがPROC遺伝子の変異は認められなかった. 2)重症心身障害児・者のうち, 深部静脈血栓症(DVT)の評価ができている40例についてDVTの有無で2群に分けて比較検討を行った。DVTあり群はDVTなし群に比し, 抗てんかん薬の種類数(P<0.001)が多く, VPA(P=0.038)・BZP系(P=0.018)の使用率が高く, APTT延長(P=0.024), PC活性低値(P=0.016)が認められた。引き続き対象のDVTの評価を行い, 多重ロジスティック解析を行う予定である。 3)PC欠乏症の血栓症発症に関連する内的・外的因子を明らかにするため, すでに遺伝子検査でPC欠乏症と診断されている患児と, disease controlとして新生児・小児期に血栓症を発症した患児を前方視的に観察している.事情によりPC欠乏症と診断されている患児が研究から除外されたため, PC欠乏症の患者との比較検討が困難となった.Disease control群の内訳は胎児期/新生児発症の脳梗塞5例, 深部静脈血栓症1例, 脳幹梗塞1例をエントリーした.これまで全例で新規血栓症の発症はなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予想に反し, 設定した対象に新規のプロテインC欠乏症と遺伝子診断できた患者が同定できていない。また2020年2月以降, COVID-19の影響もあり, ハイリスク群と考えられる重症心身障害児・者の定期受診やエコー等の検査が十分に行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
重症心身障害児・者の血栓症発症のリスク因子として, 抗てんかん薬やPC活性が関与している可能性が示唆されている。対象症例の血管エコー等のスクリーニングを終了し次第, 多変量解析を行う。
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Research Products
(2 results)