2019 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of the genetic abnormalities of leukemia/lymphoma indicating characteristic cell marker and the establishment of new disease entity
Project/Area Number |
18K15694
|
Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
大木 健太郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 室長 (50400966)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 小児急性白血病 / 小児リンパ腫 / 細胞免疫学的検査 / 次世代シーケンス解析 / 遺伝子異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小児急性白血病/リンパ腫で、特徴的な細胞マーカー所見を示す新たな疾患entityの候補と考えられる症例群に対して詳細な遺伝子解析を行い、急性白血病/リンパ腫の発症病態の解明に結びつけ、新しい疾患entityとしての確立を図るとともに、得られた解析結果を予後情報と統合的に解析し、治療標的となる遺伝子異常の検索や治療の層別化に利用することで、予後の向上に役立てることにある。 本年度我々は、特徴的な細胞マーカー所見を示し、既存の解析法で遺伝子異常が検出されない急性白血病26症例について、全トランスクリプトーム解析による網羅的ゲノム解析を行った。細胞質内Ig-μ鎖陽性で、細胞表面CD5やCD33が陽性である特徴的な細胞マーカーを有する3症例で新規融合遺伝子を含むMEF2D遺伝子関連融合遺伝子が検出されるとともに、CD10陰性の5症例で新規融合遺伝子を含むZNF384関連融合遺伝子が、CD371陽性の4症例からDUX4融合遺伝子が、フィラデルフィア遺伝子陽性白血病と近似した細胞マーカー所見を有する4症例からPDGFRB遺伝子やJAK2遺伝子、ABL2遺伝子、PAX5遺伝子に関連した融合遺伝子が検出された。それぞれの融合遺伝子について、RT-PCR法やFISH法を用いてvalidationを行った。さらに、小児急性リンパ芽球性白血病の細胞マーカー所見と既知の遺伝子異常との関連について明らかにした(Ohki K, et al. Genes Chromosomes and Cancer. 2020 May 05; Epub ahead of print. Doi: 10.1002/gcc/22858.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由;令和元年度は、特徴的な細胞マーカー所見を示し、既存の解析法で遺伝子異常が検出されない急性白血病26症例について、網羅的遺伝子異常の検索を行い、複数の新規融合遺伝子を含めた遺伝子異常が同定された。さらに小児急性リンパ芽球性白血病において、細胞マーカー所見と既知の遺伝子異常との関連を明らかにし、細胞マーカー所見から既知の遺伝子異常が推測可能であることを報告した。 また、次年度以降に行う解析の準備として、検体の準備や日本小児がん研究グループ(JCCG)との協力体制も整っており、概ね順調に進展していると考えられる
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、特徴的な細胞マーカー所見を示し、既存の解析法で遺伝子異常が検出されない小児急性白血病/リンパ腫について、本年度解析を予定していて行えなかった10検体を加えた30検体前後について、次世代シーケンサーを用いた全エクソン解析、全トランスクリプトーム解析、等を行い、特徴的な細胞マーカー所見と遺伝子異常の組み合せによる新規の疾患entityを明らかにする。新規に見出された融合遺伝子や遺伝子異常について、機能解析を行い、造腫瘍性について検討を行う。 本研究で集積した大量の遺伝子データおよびJCCGと中央免疫診断施設である成育医療研究センターの白血病/リンパ腫データベースによる細胞マーカーデータと臨床データの解析の統合解析を行うことにより、新たな白血病分類法として確立するとともに、治療標的となる遺伝子異常の検索や治療の層別化に利用することで、予後の向上に役立てる予定である。
|
Causes of Carryover |
理由;令和元年度に計画していた特徴的な細胞マーカー所見を有する急性白血病10検体分の次世代シーケンサーを用いた網羅的ゲノム解析を行うことができなかったため。 令和2年度分として請求した助成金と合わせた使用計画; 令和2年度に解析を計画していた既知の遺伝子異常がなく、混合性白血病や分類不能型白血病等の細胞マーカーに一定の特徴がある急性白血病/リンパ腫20検体前後に加えて、平成30年度に計画していた10検体も合わせて、次世代シーケンサーを用いた網羅的ゲノム解析を行っていく。
|