2019 Fiscal Year Research-status Report
免疫機能を付与した小腸オルガノイドによる次世代バイオモデル開発研究
Project/Area Number |
18K15696
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
町田 正和 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 細胞医療研究部, (非)研究員 (50450622)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オルガノイド / 小腸 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
創薬、薬剤毒性検定等次世代の医療開発へ貢献している。しかし、現行の培養方式では分化誘導体に生理活性の機能性を持たせることは極めて困難である。培養ディッシュ内で蠕動様運動、吸収や分泌能などのヒト腸管の機能を有する立体組織(ミニ小腸)の創成に世界で初めて成功した。このミニ小腸は、LGR5陽性腸管上皮幹細胞、腸内分泌細胞、Paneth(パネート)細胞、杯(ゴブレット)細胞やM細胞など生体腸の上皮系細胞を備えるだけでなく、平滑筋細胞、カハール介在細胞や腸管神経叢も有するヒト小腸組織構成に類似した組織構造をもつ。これまで、この独自性の高いミニ小腸基盤技術を応用し、ヒト腸の発生を可視化できるシステムとして小腸幹細胞のマーカーであるLGR5と腸管神経のマーカーPHOX2Bの発現が同時に別色素で可視化できる多能性幹細胞を作製した。ミニ小腸の分化誘導過程では、LGR5陽性(緑色蛍光)とPHOX2B(赤色蛍光)のダブルポジティブ動態を確認することが出来た。小腸上皮組織のみならず粘膜以外の間質部分も成熟化し機能性も獲得したデュアル可視化ミニ小腸を作製した。今年度は、さらに、自然免疫機能を内在するオルガノド作製のため、iPS細胞から単球細胞を分化誘導しミニ小腸へ注入後マクロファージへ分化させる方法を見いだしIBA1陽性細胞を内在するミニ小腸の開発に成功した。免疫機能も有する腸管オルガノイドの検証を今後行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己組織化の分化誘導法のため、免疫系組織も内在化することは課題が多いと想定していたが、分化誘導法や移植技術の試行錯誤の結果マクロファージ系細胞の内在化に成功した。開発上のブレイクスルーとなったので、今後機能性に関して研究を進めることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞からの単球細胞分化誘導も含めた、マクロファージ内在化ミニ小腸の作製安定化を進める一方で腸管発生上の粘膜上皮組織と間質との連動した成熟化機序の検証を進めていく。これにより、ヒト発生と関連する腸管の先天性疾患、希少疾患の病因機序の研究展開でこれまでにないin vitroで研究可能となる新規バイオモデルの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)試薬の納品が遅れたため。 (使用計画)物品費として使用する。
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