2018 Fiscal Year Research-status Report
急性脳症の早期診断と治療に向けた血液・髄液microRNA解析
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18K15700
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 愛 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90801928)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 急性脳症 / microRNA / けいれん重積型急性脳症 / 急性壊死性脳症 / 難治頻回部分発作重積型急性脳炎 / 熱性けいれん / 早期診断バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はけいれん重積型急性脳症(AESD)や予後不良のサイトカインストーム型急性脳症(急性壊死性脳症:ANE)を含む急性脳症と、比較的予後良好のけいれん性疾患(熱性けいれん(重積):FS(p-FS))を区別する発症早期バイオマーカーの探索を目的とし、各群において血液/髄液miRNAの発現やそれに制御されるサイトカイン発現を比較検討する。研究代表者が所属する東大発達医科学は従来から東京大学医学部倫理委員会における承認を得て全国の共同研究施設より急性脳症患者の全血検体(末梢血由来DNA)を病歴用紙と共に集積する体制があり、本研究ではその体制を生かし進めていく方策を立てた。平成30年度開始直後より本研究に応用できるよう従来の病歴用紙を一部改定し、7月に本学倫理委員会に髄液・血清検体の集積を可能にするため変更審査依頼を提出、9月に承認通知を得た。その後、東大病院小児科を含め数カ所の医療機関の臨床医と集積体制について相互に意見交換する機会を持ち急性期試料の集積体制を整備した。11月より急性脳症群の血清・髄液、熱性けいれん群の血清・髄液が患者病歴と共に当教室に集積されているが、本年度3月の時点で目標サンプル数には満たないため次年度も集積を継続する。また今年度、血清miRNAの発現解析のパイロット試験を開始した。連携研究者・研究施設(東京都医学総合研究所 脳発達・神経再生研究分野 こどもの脳プロジェクト)と共同研究体制を構築し、広く急性脳症の亜群である難治頻回部分発作重積型急性脳炎(AERRPS)および対照群(けいれん性疾患)の血清を用いてmiRNA Isolation KitでRNAを抽出後、逆転写反応させcDNA化し、ミクログリア関連の中枢性炎症に関連する、または脳梗塞の早期バイオマーカーとして報告されている複数の候補miRNAについてPCR定量解析および両群で発現比較を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度のAERRPS群および対照群の血清を用いた予備試験により血清検体におけるcell-free RNA抽出およびmiRNA発現解析の一連の実験条件はほぼ確立した。また 両群の抽出したサンプルを用いて、今後解析対象とする候補miRNA(miR-146a_1, miR-146b_1, miR-233, miR-125a_1, miR-125b_1, miR-21_1 等)をPCR定量解析し、現在Comparative CT法を用いて両群の発現比較を進めている。 次年度以降でAESD含めた急性脳症群や対照群の血清・髄液のサンプル数およびサンプル量の確保ができた段階で、血清試料については速やかにRNA・cDNA抽出およびPCR定量解析を進める体制は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も継続して急性脳症群や対照群の急性期試料(血清・髄液)を集積し、目標のサンプル数およびサンプル量を確保する予定である。併せて、以下の実験を行うことを計画する。②、③についてはAERRPS群と対照群の試料を用いた予備試験より実施する方策である。 ① 集積したAESD群および対照群の血清を用いたcell-free RNA抽出。候補miRNA(miR-146a_1, miR-146b_1, miR-233, miR-125a_1, miR-125b_1, miR-21_1 等)についてPCR定量解析および両群での発現比較検討。 ② 髄液試料を用いたcell-free RNA抽出およびPCR定量解析の予備実験。 ③ Bio-Plexシステムを用いた血清・髄液サイトカイン解析の実験条件の調整。
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Causes of Carryover |
今年度は検体集積と血清miRNA解析のパイロット実験を進めた。今年度、急性脳症群、対照群のサンプル数・量が解析目標サンプル数に満たなかったため、Bio-Plexシステムを用いた血清・髄液サイトカイン発現解析の試行は次年度以降に実施するように計画を変更した。そのため次年度使用額が生じた。 次年度に引き継いだ差引額は、次年度以降に集積が進んだ段階で同解析に使用予定である。
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Remarks |
東京大学大学院医学系研究科 発達医科学 ホームページ http://www.development.m.u-tokyo.ac.jp/
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