2018 Fiscal Year Research-status Report
川崎病モデルマウスを用いた心筋炎に伴う不整脈発生の機序の解明
Project/Area Number |
18K15706
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
星野 真介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70747576)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 川崎病モデルマウス / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では、平成30年度には川崎病モデルマウスを用いて心筋炎の程度の検討と不整脈の発生頻度について調べる予定であったが、米国で川崎病に関する研究を包括的に行っているUniversity of California San Diego(UCSD), Kawasaki Disease Research Centerに留学する機会を得たため予定を変更し、平成30年4月から令和元年9月末まで海外渡航することとした。 我々は、渡米までに新生児・乳児期の心室筋細胞がL型Ca2+チャネル遮断薬の一つであるベラパミルに感受性が高いことを明らかにし、新生児・乳児にベラパミルを投与することにより心機能低下が誘発される機序を解明した。 新生児・乳児ではベラパミルの投与により心機能低下をきたすことがあるため、小児不整脈の診断・治療ガイドラインにおいてベラパミルの使用は禁忌とされているが、その機序に関しては明らかにされていない。著者らは、生直後(生後24時間以内)のマウス心臓にランゲンドルフ灌流法(生理的心臓灌流法)を適用して心室筋細胞の単離に初めて成功した(Hoshino et al., 2012)。そこで、その実験手法を用いて生後24時間以内(day-0)、生後7日(day-7)、生後14日(day-14)、生後21日(day-21)、生後28日(day-28)および生後10~15週の成獣マウスから心室筋細胞を単離し、パッチクランプ法でL型Ca2+チャネル遮断薬であるベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼムに対する感受性を検討した。その結果、ベラパミルに対してはday-0、day-7、day-14、day-21マウス心室筋細胞では、day-28と成獣マウス心室筋細胞に比較して有意に高い感受性を示した。一方、ニフェジピン、ジルチアゼムに対してはすべての発達段階のマウスについて感受性の差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
米国で川崎病に関する研究を包括的に行っているUniversity of California San Diego(UCSD), Kawasaki Disease Research Centerに留学する機会を得たため予定を変更し、平成30年4月より米国にて川崎病に関する研究を包括的に行っている。令和元年9月末に帰国予定であり、その後研究を日本国内での研究を再開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究所では,主に血管組織,心筋組織から産生・分泌されるバイオマーカーGalectin3, Galectin10, tenascin C, calprotectinなどに焦点をあて、実際に川崎病患者より採取した血液検体を用いて測定を行い、急性期に認められる血管炎,心筋障害,冠動脈障害、更に回復期~遠隔期に認められる慢性持続性血管炎,粥状動脈硬化のそれぞれの病態を評価する際のバイオマーカーの有用性について検討している。そこで本研修は、川崎病の権威であるBurns博士の研究室に赴き、実際にアメリカ全土より集められている川崎病患者の血清の一部を用いて、上記バイオマーカー測定のための研究手法に関わる実際上の知識を習得し、解析を行う。さらに統計ソフトを用いた解析手法を習得する。帰国後は研究計画に沿って、研究を再開する予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年4月より渡米し研究する機会を得たため、予定を一部変更したため。
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