2019 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞と3次元共培養によるHPGDS経路のシナプス刈込と自閉症への関与の解析
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18K15707
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘 雅弥 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任准教授(常勤) (10722952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロスタグランジンD2 / 神経炎症 / ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、プロスタグランジンD2の神経発生に及ぼす影響について、マウスや培養系を用いた検討を進めた。大阪大学連合小児発達学研究科・薬学研究科と共同で、マウスの神経細胞の形態にプロスタグランジンD2-DP1受容体経路が及ぼす影響について動物実験を用いて検討し、同経路の活性化が神経細胞の形態に影響を与えることが明らかになった。また、同時にストロサイトやミクログリアなどの炎症細胞の活性化も認められ、プロスタグランジンD2が脳の発生段階において、神経細胞と炎症細胞の両者に影響を与えていることが示唆された。 マウス細胞を用いた細胞培養実験においても、プロスタグランジンD2-DP1受容体経路が神経細胞の形態に影響を及ぼすことが示唆された。これらの結果を踏まえて、iPS細胞からミクログリアおよびニューロンを作成し、ミクログリアに発現する造血器型プロスタグランジンD2合成酵素(HPGDS)の発現量によるミクログリアの性質の違い、および神経細胞とミクログリアの共培養による神経回路形成への影響について検討を行うための準備を進めた。iPS細胞からミクログリア、神経細胞への分化に用いるプロトコルについて、既報告より検討した。また、iPS細胞でのHPGDSの過剰発現、発現抑制の方法についての検討を加え、実験手法を確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞を用いた実験の開始準備は整っているが、まだ具体的な実験成果を公表できるには至っていない。 動物実験およびマウスの神経系細胞を用いた実験での成果を出すのに予定より時間を要しているが、現在までの実験では想定以上の成果が得られている。この成果を踏まえて、iPS細胞を用いた検証を含め、次年度における実験計画を具体的に立案しその準備を順調に進めている。 従って全体的な進捗としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスによる研究の制限が解除され次第、ヒトiPS細胞を用いた実験を推進する。令和2年度より研究に従事できる人員も増えたことから、効率的に研究計画を遂行していくことができる予定である。HPGDS-プロスタグランジンD2-DP1受容体/DP2受容体経路が、ミクログリアと神経細胞それぞれに及ぼす影響だけでなく、神経細胞とミクログリアの相互作用による神経回路形成に及ぼす影響を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
前年度未使用額分の次年度への繰り越しが生じた。翌年度はiPS細胞を用いた研究を推進する上での関連物品購入費に相当額の支出が予定されており、これと成果発表に要する費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)