2018 Fiscal Year Research-status Report
ハッチンソン・ギルフォード症候群患者のQOL向上を目指したケアシステムの確立
Project/Area Number |
18K15719
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川野 奈々江 大分大学, 医学部, 医員 (10817315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハッチンソン・ギルフォード症候群 / 稀少疾患 / QOL / ケアシステム / 支援マニュアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遺伝性早老症の中でも特に重篤な疾患として知られるハッチンソン・ギルフォード症候群(HGPS)患者のQOLを規定する関連因子を明らかにし、医療・教育・福祉が連携したケアシステムの確立を目指すことを目的とする。 平成30年度は、HGPS患者の実態を把握するため、国内3症例を対象としアンケート調査を行った。主治医を対象としたアンケートでは、患者フォローアップに複数の医療機関が関わっており、米国での治験参加症例も2例あった。患者家族を対象としたアンケート調査では、訪問医療サービスの利用や行政の介入はなく、通院や通学のための送迎、教育機関との打ち合わせ等のために、患者家族の就労状況に影響があったことが明らかとなった。診断後、HGPSに関する情報が充分得られなかったという答えが多く、生活をする上で問題となる症状やケア等を患者家族間で共有する機会を望む声が聞かれた。教育機関を対象としたアンケート調査では、成長障害や老化現象に伴う身体的な特性に対応するため設備の改装や個別対応などの工夫が行われ、早老様顔貌等の特徴的顔貌に対しては、他の児童に対し説明を行うなどの対応が必要であったと回答があった。一方で、行政を対象としたアンケート調査は、アンケートへの回答が可能な患者対応経験を有する行政担当者が、対象症例の全てにおいて存在せず、実施できなかった。患者家族からは、積極的な行政介入を望む声が聞かれた。 以上より、HGPS患者に対する支援において、医療・教育・福祉の連携に加え、家族間の情報共有の場や、情報提供のためのツールの整備が必要であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生存中の国内症例が少なく、アンケート調査が充分に行えていない。 行政を対象としたアンケートが実施できていない。 QOL調査の準備が遅れており、実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り調査、分析を継続する。 過去の症例も含め、アンケート調査を実施する。
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Causes of Carryover |
面接調査や学会発表のための旅費を計上していたが、面接調査を実施できず、研究成果が不充分で学会発表に至らなかったため。 また、HGPSについての疾患情報提供を行うためホームページ開設を予定していたが、準備作業が遅滞したため。 次年度は、面接調査や学会発表の旅費、ホームページ開設の準備費用として使用する予定。
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