2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K15720
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宇藤山 麻衣子 宮崎大学, 医学部, 助教 (80783795)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | OCR:酸素消費速度 / ECAR:細胞外酸性化速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はミトコンドリア病の診断あるいはミトコンドリア障害が疑われる患者の末梢血を用いてエネルギー代謝(OCR:酸素消費速度, ECAR:細胞外酸性化速度)を測定し、迅速なミトコンドリア障害の診断と治療効果の評価を目的としている。評価系確立のため、I. 末梢単核球のミトコンドリア異常検出感度の測定、II. 各測定項目でのミトコンドリア異常症診断基準の確立、III. 治療効果判定の評価系の確立 について研究を遂行した。そこで、まず健常人5例について末梢血1-2mlから単核球を分離し2x105ずつ細胞外フラックスアナライザーに播種し、酸化的リン酸化を反映するOCR:酸素消費速度と解糖系を反映するECAR:細胞外酸性化速度の測定を行い、基準値を算出した。 2019年度はLeigh脳症の1例とピアソン病1例について末梢血単核球, 骨髄細胞でのOCRの計測を行った。いずれの症例も正常コントロールと比較して有意にOCRの低下を認めた。また、骨髄細胞ではOCRの低下に加えて解糖系活性(ECAR)の上昇を認めた。 ピアソン病の症例では皮膚線維芽細胞ではOCRの低下は認めず、末梢血単核球と骨髄細胞における細胞外フラックスアナライザーの診断的有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
末梢単核球の分離と細胞外フラックスアナライザーを用いたOCR解析により迅速にミトコンドリア活性を測定することが可能であり診断的有用性が証明できた。しかし、2019年度はミトコンドリア病疑い症例が少なく、統計学的解析を行うために20例程度を目標に症例の蓄積が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
各測定項目でのミトコンドリア病診断基準の確立 症例の解析からミトコンドリアの基礎呼吸, ATP産生, 最大呼吸能, 予備呼吸能, 解糖系活性:ECARが算出される。これらの値から最もミトコンドリア障害の診断に有用なマーカーを同定する。健常人 10例とミトコンドリア病症例 30例の検出値を統計学的に解析しミトコンドリア病が疑われる値を算出し、特異度と感受性を算出する。さらに、IIの解析からMELAS, Leigh脳症, Pearson症候群など各病型と各検出値を比較し、診断的有用性を検証する。 治療効果判定の評価系の確立 新規にミトコンドリア病と診断され治療導入がなされた症例について治療開始前と後で末梢血リンパ球のOCRとECARを測定する。ミトコンドリアレスキュー (フルスチアミン、アスコルビン酸、ビオチン、ユビデカレノン、Lカルニチン)の導入によってOCRが上昇し、ECARが減少した検体については治療反応性が良好であると判定できる。新規診断例10例を目標に治療開始前後のミトコンドリア代謝活性を測定し、治療効果判定や治療導入基準を設定する。また、現在治験中の薬剤 (ALA/SFC, イデベノン, タウリン, EPI-743など) についてミトコンドリア障害を認めたリンパ球に添加することでOCRが改善するか評価を行い、新規薬剤スクリーニング系を構築する。
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