2018 Fiscal Year Research-status Report
難治性致死性疾患である亜急性硬化性全脳炎への治療法開発のための基礎的研究
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18K15721
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
前田 創 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90746059)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 亜急性硬化性全脳炎 / 麻疹ウイルス / ファビピラビル |
Outline of Annual Research Achievements |
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、麻疹ウイルス変異株(SSPEウイルス)の持続感染による遅発性ウイルス感染症である。国内では、当施設を中心にIFN-αおよびリバビリンの脳室内投与療法が実施されているが、臨床効果は十分とは言えず、新たな治療薬が望まれている。本邦で抗インフルエンザ薬として開発され臨床利用されているファビピラビルは、RNAウイルスに広く活性があり、in vivoとin vitroにおいてリバビリンよりも高い抗ウイルス活性があると報告されている。本研究では、SSPEに対するファビピラビルの効果を細胞レベル及び本施設のみで確立されているSSPEの動物モデルを用いて評価し、SSPEに対する安全で有効な治療法を確立することを目標としている。現在まで、in vitroにおいてファビピラビルとリバビリンの麻疹ウイルス実験室株(Edmonston株)とSSPEウイルス臨床分離株(SSPE Yamagata-1株)に対するウイルス増殖阻害効果を検討した。ファビピラビルとリバビリンの50%効果濃度(EC50)はそれぞれ、野生株では、109.4μM、117.8μM、変異株では、40.4μM、42.4μMであり、ファビピラビルの50%細胞障害濃度(CC50)は、野生株で>1000μM、変異株で>1000μMであった。in vitroにおいて、ファビピラビルは、麻疹ウイルスとSSPEウイルスにリバビリンと同等のウイルス増殖阻害効果を認め、高濃度においても細胞毒性がないことを確認している。今後は、SSPEウイルスに対するファビピラビルの効果を評価するために、SSPEの動物モデルを用いてファビピラビルのウイルス増殖阻害効果と発症予防・治療効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定は、SSPEの動物モデルを用いてファビピラビルのウイルス増殖阻害効果を検討する予定であった。現在、SSPEウイルスをヌードマウスに脳内注射し、100%致死量の検討を行っているが、SSPEウイルスが脳に感染せず、100%致死量を決定できない状況であり、予定より遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
保存しているSSPEウイルスをヌードマウスの脳に感染できる程度のウイルス価に増殖させ分離する必要がある。増殖させたSSPEウイルスをヌードマウスの脳内に接種し、100%致死量を決定し、SSPEウイルスに対するファビピラビルの効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に従い、消耗品を購入したが、残金が発生した。次年度も研究計画に従い研究を実施する。
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