2018 Fiscal Year Research-status Report
新規ヨードトランスポーターによる先天性甲状腺機能低下症の疾患概念の確立
Project/Area Number |
18K15723
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青山 幸平 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (40812095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先天性甲状腺機能低下症 / ヨードトランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨードは甲状腺ホルモンの原料として生体内では甲状腺組織のみで必要とされるが、ヨードの甲状腺内への輸送メカニズムはいまだ十分に解明されていない。私たちは既知の遺伝子異常を認めなかった甲状腺ホルモン合成障害の兄妹の一家系に全エクソーム解析を行い、罹患者のみに遺伝子Xのナンセンス変異をホモ接合性に同定した。遺伝子Xは甲状腺濾胞細胞の管腔側のヨード輸送を行うSLC26A4遺伝子のサブファミリーであることが知られているが、これまでにヒトでの意義はほとんどわかっていない。私たちは遺伝子XとSLC26A4遺伝子の相同性から、その蛋白Xが新規のヨードトランスポーターであると仮定し、その局在や機能を明らかにすることを目的とした。健常人の甲状腺組織を用いて免疫染色を行ったところ、蛋白Xは甲状腺濾胞細胞の管腔側優位に発現していた。哺乳類細胞を使用して蛋白Xのヨード輸送能を評価したところ、コントロールと比較して濃度依存性にヨードの輸送が見られた。また患者の変異を導入することで細胞での局在変化を認め、ヨード感受性YFP変異体を用いた実験によりヨード輸送能が有意に低下することを確認した。以上から、新規ヨードトランスポーターである遺伝子Xの両アレル機能喪失型変異が甲状腺腫を伴う先天性甲状腺機能低下症を引き起こすことを示した。現在、遺伝子Xのノックアウトマウスを作成中であり、マウス甲状腺におけるヨード輸送システムの全容解明を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人の甲状腺組織を用いて免疫染色にて蛋白Xが甲状腺濾胞細胞の管腔側優位に発現していることを確認した。また哺乳類細胞を使用して蛋白Xのヨード輸送能を評価し、コントロールと比較して濃度依存性のヨード輸送を証明した。また患者の変異を導入することで細胞での局在変化を認め、ヨード感受性YFP変異体を用いた実験によりヨード輸送能が有意に低下することを確認した。以上から、新規ヨードトランスポーターである遺伝子Xの両アレル機能喪失型変異が甲状腺腫を伴う先天性甲状腺機能低下症を引き起こすことを証明した。現在は、遺伝子Xのノックアウトマウスの作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺伝子Xのノックアウトマウスを作成し、ヨード含有量の異なる食餌を用いて甲状腺機能への影響を検討する予定である。また、SLC26A4のノックアウトマウスとの比較や、遺伝子XとSLC26A4のダブルノックアウトマウスとの表現型の比較をすることで、それぞれのヨードトランスポーターの相互的な関係について明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスの作成が予定より遅れているため、次年度使用額が発生した。遺伝子XとSLC26Aのノックアウトマウスの作成と、それらのマウスを用いた甲状腺機能評価実験に使用する予定である。
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