2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a non-invasive evaluation for liver fibrosis using elastography in patients after Fontan operation
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18K15725
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
趙 有季 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 医員 (80779398)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝硬度 / 肝線維化 / Fontan術後 / 門脈圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fontan術後には肝線維化が認められるが、その適切な評価方法はなく、我々はC型肝炎等で線維化評価の信頼性が確立されている肝硬度を用いたFontan術後肝線維化評価の妥当性について検討を重ねてきた。前年度から肝生検数を上乗せし、合計22名のFontan術後患者(年齢中央値 14.7 歳;9.9~32.1歳)の肝組織所見のスコア化を行い、肝硬度との関連性を解析した。また、肝組織所見は血液生化学的所見とも比較した。さらに、肝生検とともに実施した静脈圧測定結果を元に、肝硬度と中心静脈圧ならびに肝静脈圧較差(門脈圧)との関連性についても解析を行った。C型肝炎で用いられている肝硬度(11.0 kPa以上)を肝硬変として評価した場合、全例で肝硬度は11kPa以上(中央値19.2 kPa)を示し軽度から高度な線維化が認められたものの、組織学的に肝硬変を呈していた例はなかった。 統計学的にも肝硬度は組織学的な線維化スコアを反映しなかった。静脈圧との関連性に関しては、肝硬度は中心静脈圧とは有意な関連性は示さず(p = 0.456)、門脈圧とは相関する傾向は認めたものの有意性は得られなかった(HVPG; p = 0.062)。以上の結果から、Fontan術後には肝線維化が認められるものの、C型肝炎などで確立されたカットオフ値に基づいて肝硬度値から肝線維化を評価することは肝線維化の過大評価につながるため、Fontan術後肝線維化に特化したバイオマーカーの探索が必要なことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22例の肝組織、肝硬度、静脈圧のデータを収集し、統計学的な解析を終え、一定の見解が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究当初の予測と反して、Fontan術後肝線維化に対する肝硬度の信頼性が低いことが明らかとなったが、一方で、肝組織解析から術後患者には線維化の進展が認められることが明らかとなり、肝線維化の適切な評価の必要性が高いことがさらに確かめられた。今後は、血液生化学マーカーと肝硬度との組み合わせによる肝線維化予測評価の可能性や、新たなバイオマーカーの探索の必要性についてさらにデータの集積と解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響を受け、予定していた学会発表と試料解析を中止としたため次年度使用額が生じた。同使用額は次年度に試料解析と学会発表を行うことで全額用いる予定である。
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