2019 Fiscal Year Annual Research Report
Optimization of human amniotic fluid stem cell therapy for cerebral palsy
Project/Area Number |
18K15730
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
落合 大吾 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80348713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 早産 / 脳性麻痺 / 再生医療 / 間葉系幹細胞 / 幹細胞治療 / ヒト羊水幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討では,ヒト羊水幹細胞(Human amniotic fluid stem cells; hAFSC)によるニューロスフェアの形成が不成功に終わったため,実験計画の変更を余儀なくされていた.本年度は,「投与経路の変更」および「投与時期の変更」に関する検討を主軸とし,研究を遂行した. 経路及び時期に関する検討を行う上で,まずは動物モデルを変更した.これまでは,正期産児の脳障害を反映していると考えられている低酸素虚血性脳症モデルマウスを使用していたが,早産児の脳障害を反映していると考えられている脳室周囲白質軟化症モデルラットに変更した.低酸素虚血性脳症,脳室周囲白質軟化症のいずれも新生児の脳に不可逆的な障害をもたらし,症状が重度の場合は脳性麻痺に至ることが知られており,動物モデルを変更することで,より早期の介入や,多彩な投与経路の検討が可能であると考えたためである.その上で,hAFSCをより早期に,そして腹腔内に投与した場合の治療効果の検討を行った. その結果,脳障害を反映していると考えられているグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)やミクログリア特異的カルシウム結合タンパク質(Iba-1)の陽性細胞数の減少を認めた.さらに,この治療効果は,4~6週間経過しても持続していたことから,より早期の介入で不可逆的な脳障害を抑制している可能性が考えられた.また,腹腔内に投与したhAFSCが腹膜や肝皮膜の近傍で凝集体を形成していることが判明した.他の間葉系幹細胞を用いた既報では,この「腹腔内凝集体」から種々のサイトカインが分泌され,体内の炎症反応を抑制している可能性が示唆されている. 今後は,早産の炎症に起因する脳障害に対するhAFSCの治療効果が,投与した細胞の「腹腔内凝集体」によるものであるとの仮説を検証すべく,実験計画を立脚する方針である.
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