2019 Fiscal Year Research-status Report
集束超音波技術を用いた双胎間輸血症候群に対する新しい胎児治療法の開発
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18K15731
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
瀬尾 晃平 昭和大学, 医学部, 講師 (70791440)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HIFU / TTTS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究完遂のためのスケジュールとして掲げた項目は以下の7項目である。①6分割トランスデューサーの作成。②位相変調照射の導入。③焦点可視化プログラムの実装。 ④幾何焦 点方式であったシステムを可変焦点方式に高性能化するため、RFアンプを増設する。 ⑤ガイド用超音波像のHIFUノイズ除去手法を導入する。⑥超音波散乱信号変化による治療モニタリングを導入する。⑦動物実験倫理委員会、IRBへの申請および 承認を得る。 さらに、動物実験を行い、安全性の検証を進めた上で、臨床応用を開始する事である。これらのうち以下の項目について成果があった。①6分割トランスデューサーの作成について。東北大学チームが作成した基礎実験用6分割トランスデューサーを 用い、動物実験を行った。分割照射が可能であり、皮膚表面に発生する熱量を軽減することができた。論文掲載にいたった。臨床施用するためのトランスデューサーは現在開発中である。③焦点可視化プログラムの実装について。東北大チームとの共同研究において動物実験を行った。その結果焦点を事前に可視化する ことに成功した。また、焦点の照射前把握だけでなく凝固形状の予測や、骨や気泡による反射に伴う意図せぬ発熱の予測にも利用可能であることがわかった。現在論文投稿中である。⑦動物実験倫理委員会、IRBへの申請および承認については、動物実験倫理委員会の承認を得た。国際ジャーナルにおける論文掲載が2編、また国際学会(ISUOG2018シンガポール)での発表を1件、日本超音波医学会での発表を3件行った。 成果を上げた実装項目があった一方、導入を見送るべき実装項目も存在した。TTTSはTRAPsよりも細い血管を対象とするため、臨床導入を焦らずに、高い安全性、精度、効率を求め、基礎検討を重ねていくよう研究計画を変更する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度の時点で以下の理由により研究の遅延が生じていた。位相変調照射の導入について。規則的なsin波に任意の時相でcos波を挿入するプログラムを作成したが、基礎実験により、位相変調照射による皮膚温度上昇効果は16分割トランスデューサーの手法に比して高くないことがわかったため、臨床導入の順位を下げた。幾何焦点方式であったシステムを可変焦点方式に高性能化するため、RFアンプの増設について。元々所持していたHIFUシステムの故障によりアンプ増設時期が遅れた。ガイド用超音波像のHIFUノイズ除去手法を導入について。HIFU焦点を6点に高速スキャンさせる位相変調照射時に、任意の2時相のRF信号取得間の組織変動の差より、超音波パルス応答のみ を抽出するアルゴリズムを適用したが、導入の順位を下げたことにより、このノイズ除去手法の順位も下げた。超音波散乱信号変化による治療モニタリングを導入について。HIFU照射中にパルスインバージョン法を用いてHIFU散乱信号を受動的に取得するプログラムを用いた基礎実験は済ませたが、精度の担保ができず、まだ臨床実装には至らなかった。 2019年度(2020年2月)に上記項目の臨床実装に向け、神戸のINTeC動物実験施設での動物実験を予定していたが、コロナウイルスのパンデミックにより長距離移動を避ける目的で中止としたため、基礎実験ではある程度成果が得られている一方、遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
安全性、精度、効率の観点より実装の重要度は高くない項目があることがわかった。有効性の高い項目をHIFUシステムに導入し、より確実性の高い装置を以って臨床施用に備えていくのが望ましいと思われる。TTTSはTRAPsよりも細い血管を対象とするため、非常に高い安全性、精度、効率が求められるため、臨床導入を焦らずに、さらなる基礎検討、動物実験を重ねていく必要性がある。しかし、動物実験を行わずして次の段階に進むことができない。コロナウイルスによる様々な制限から開放されるまで、先行きは不透明な状況である。
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Causes of Carryover |
2019年度(2020年2月)に有用と思われる項目の臨床実装に向け、神戸のINTeC動物実験施設での動物実験を予定していたが、コロナウイルスのパンデミックにより長距離移動を避ける目的で中止としたため、基礎実験ではある程度成果が得られている一方、遅延が生じたためである。2020年度、パンデミックに伴う様々な制限がなくなり次第、動物実験を計画し遂行する予定である。
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Research Products
(6 results)