2018 Fiscal Year Research-status Report
サイトメガロウイルス感染合併炎症性腸疾患における重症化、難治化機構の解明
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18K15747
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 修司 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (00789638)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / サイトメガロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、T細胞受容体α鎖欠失 (T cell receptor α knock out, TCRα KO)マウスに1週齢でマウスサイトメガロウイルス (murine cytomegalovirus, MCMV)を感染させた炎症性腸疾患CMV感染マウスモデルを用いて炎症性腸疾患におけるCMV感染による難治化のメカニズムの解明を目指している。 平成30年度の研究成果は以下の通りである。 1. TCRα KOマウスに16週齢から2週間デキサメタゾン(dexamethasone, Dex)を隔日投与し、大腸組織のサイトカインプロファイルを検討したところ、MCMV感染マウスではDex投与で腸炎の改善を認めず、MCMV非感染マウスと比べて有意に腸炎が悪化していた。さらに大腸組織の遺伝子発現がMCMV非感染マウスではTh2優位であったものが、MCMV感染マウスではTh1/17優位に変化していることを確認した。 2. TCRα KOマウスから作成した骨髄由来マクロファージ (bone marrow derived macrophage, BMDM) を用いて、ex vivoでLPS刺激実験を行った。BMDMのTNFα、IL-6、LI-1β、IL-12/23 p40などの炎症性サイトカイン産生をmRNAレベル、蛋白レベルで検討したが、MCMV感染の有無で明らかな差異は認められなかった。 3. TCRα KOマウスから単離した粘膜固有層単核球(lamina propria mononuclear cells, LPMC)を用いてex vivoでCD3/CD28刺激やPMA/ Ionomycin刺激を行った。いずれの刺激においてもMCMV感染マウスから単離したLPMCの方がMCMV非感染マウスから単離したLPMCと比較してIFNγやIL-17Aの産生がmRNAレベル、蛋白レベルのいずれでも増加している傾向にあった。IL-4の産生に関してはMCMV感染の有無で明らかな差異を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初MCMV感染でステロイド治療抵抗性の原因と考えていた単球・マクロファージの機能にMCMV感染の有無で変化が認められなかった。このため他の細胞成分に検討の対象を広げて検討中であり、当初はメカニズム解析へと進んでいく予定であったがそこまで到達していない。しかしながらMCMV感染によるT細胞機能の変化を示唆する実験結果が得られており、さらに解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もTCRα KOマウスから単離したLPMCを用いてex vivo刺激実験を継続する。MCMV感染でT細胞機能に変化が生じている場合、そのメカニズムについてさらに検討していく。 これらの実験でMCMV感染の有無でT細胞の活性化に差がないようであれば、血球細胞以外の血管内皮や線維芽細胞などの機能解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初MCMV感染でステロイド治療抵抗性の原因と考えていた単球・マクロファージの機能にMCMV感染の有無で変化が認められず、当初はメカニズム解析へと進んでいく予定であったがそこまで到達していないため。他の細胞成分で同様の検討を行っていく予定であり、その研究費用として使用を予定している。
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