2018 Fiscal Year Research-status Report
胆道癌幹細胞を標的とするエクソソームの同定と新規標的治療への応用
Project/Area Number |
18K15755
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石上 敬介 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50779600)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エクソソーム / 胆道癌 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、胆道癌幹細胞への向性を持つエクソソームを抽出し、その表面分子を解析することを目的として研究を計画した。具体的には、(1)エクソソームを用いた胆道癌幹細胞特異的治療への応用、(2)胆道癌幹細胞上の分子を標的とした、胆道癌幹細胞特異的治療への応用、さらに胆道癌幹細胞に向性を持つエクソソームに内包される microRNA 等の分子を解析し、(3)胆道癌組織における胆道癌幹細胞の発生・維持に重要な役割を持つ microRNA の探索を行う、という形での臨床応用を検討している。 研究1年目である本年は、細胞株由来の良質なエクソソームを安定して抽出すること、またゼノグラフトモデルから取り出した腫瘍組織より癌幹細胞を単離するための基礎的な検討を行うことで、次年度の解析の基盤をつくることを目標としていた。 従来用いられていた超遠心機を用いた手法では多量の細胞培養上清を必要とすることから、比較的少量の検体からも良質なエクソソームを抽出するための手法の確立を試み、従来法と比較して少量の検体から、短時間で安定して大量のエクソソームを抽出することができるようになった。また、胆道癌ゼノグラフトモデルからの細胞単離や、細胞株から抽出したエクソソームを用いた動物実験に向けた準備も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
良質なエクソソームを安定して抽出し、その後の解析に用いるための基礎的検討に時間を要したため、従来の計画よりも少し遅れて進行しているが、2019年度には計画していた解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、細胞株から抽出したエクソソームを投与した胆道癌ゼノグラフトモデルから腫瘍を単離し、胆道癌幹細胞 申請者の研究室で保有している多数の胆道癌細胞株および胆道間質細胞株にCRISPR/CAS9を用いたゲノム編集を行い、エクソソームマーカーとされるCD63をGFPで標識したエクソソームを抽出する。胆道癌モデルマウスに蛍光標識したエクソソームを尾静脈注射し、胆道癌組織を採取、さらに胆道癌幹細胞を単離する。エクソソーム投与の有無それぞれの胆道癌幹細胞およびエクソソームの表面分子を比較検討することにより、胆道癌幹細胞に特異的に発現する分子を探索する。さらに、胆道癌幹細胞のエクソソームを介した情報伝達に関連するエクソソーム上および胆道癌幹細胞上の分子を明らかにし、同分子を用いた標的治療への応用を目指す。さらに、胆道癌幹細胞を標的とするエクソソームに内包されるmicroRNAなどの分子についても網羅的に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度に予定していたゼノグラフトモデルの作成およびエクソソームを用いた胆道癌幹細胞の情報伝達に関連する分子の網羅的解析が行えず、次年度に計画を繰り越したことが大きな理由である。2019年度には予定していた解析を行う予定であることから、次年度使用額も含めて計画していた研究を進める予定である。
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