2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of HBV integrantion into human mtDNA and its application to drug discovery
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18K15764
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
及川 律子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60449395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリアゲノム組込み / B型肝炎ウイルス / メチル化解析 / 肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
HBV持続感染を介した肝発がんのメカニズムには、慢性炎症を介した遺伝子異常の蓄積だけでなく、長期慢性炎症を要さない肝発がんにおけるHBVの直接的な関与も考えられる。我々は、HepG2肝がん細胞株にHBVを感染させたHepG2.2.15肝がん細胞株が、より高い細胞増殖能を持つことに着目し、ミトコンドリア内へのHBVゲノム組み込み検討を行った。 HBVゲノム特異的にTarget DNA enrichmentを行った後、NGS解析によりHBV組み込み部位を同定(G-NAVI法)した。組み込み部位の詳細および発現解析を行うとともに、組み込み部位におけるエピジェネティックな変化をパイロシークエンス法により解析した。 HepG2.2.15細胞株のHBV組み込み部位の一つにミトコンドリアゲノム1箇所への同定に成功した。組み込み部位はMT-CO3 (exon1:ChrM 9,652)とHBx (1,804)を境に、CACCAが共通となるmicrohomology配列部位であり、ミトコンドリア内MT-CO3およびチトクロームc発現および培養上清による乳酸値(p =0.0003)は、HepG2に比し高値であった。さらに組み込み部位周囲のDNAメチル化はHBV、ミトコンドリアの両側(HBV側:92.3%、MT-CO3側:95.5%)ともに、組み込みの無いHepG2(4.3%)、HepG2.2.15(3.0%)、PLC/PRF/5(4.0%)と比して高メチル化を示した。 HepG2.2.15におけるHBVの組み込みの1つは、CACCA microhomology配列部位を有してミトコンドリアに存在した。ミトコンドリア機能障害を示唆されるチトクロームcおよび乳酸値上昇を認めたが、組み込み部位はDNAメチル化によるエピジェネティクス制御を受けており、組み込み自体がミトコンドリア機能障害に関連するかは不明瞭であった。
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